2013年5月1日水曜日

■【コラム】 「異文化」では見誤る、日中の価値観ギャップ


【コラム】 「異文化」では見誤る、日中の価値観ギャップ
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=0430&f=column_0430_016.shtml
2013/04/30(火) 11:46

 駐在員が赴任するとき、「異文化」コミュニケーション研修という研修をよく受けます。

 しかし、 中国で起きるコミュニケーションギャップの原因は、本当に「異文化」によるものなのでしょうか? 最近の調査から、「文化」ではない他の要素の重要性が指摘されていますのでご紹介したいと思います。

意外と日中の文化的差異は小さい

  1970年代-80年代、ホフステッドは 全世界のIBMの社員を対象に、国ごとの文化的価値観の違いを調査しました。

 結果、(1) 権力格差の大小、(2) 集団主義VS個人主義、(3) 女らしさVS男らしさ、(4) 不確実性の回避、(5) 長期志向VS短期志向という5つの次元で各国の文化の違いがあることが分かりました。

 しかし、この中で日本と中国が大きく違っているものはただ1つ。(4) 不確実性の回避だけでした。欧米諸国と日本の差異が広範囲に及ぶのと比べると、日中の文化はむしろ、かなり類似しています。

 一方で、現実に中国で日本人マネージャーたちが直面している意識や価値観のギャップは、欧米に赴任した方々のそれとくらべて、そこまで小さいとは思えません。

 「異文化」では説明がつかない何かがあるはずです。

経済発展の影響

 下記グラフは、2005年イングルハートによる調査結果ですが、これによると大衆の価値観は経済構造によって規定されることが分かります。

 (1) のグラフから、社会が農業から工業段階に移っていくごとに人々の価値観は「伝統的な価値観」から「世俗−合理的な価値観」に変わっていくことが見て取れます。

 また、(2) のグラフからは、社会が工業からサービス業に移っていくごとに、「生存価値」から「自己表現価値」に価値観が変わっていくことが見て取れます。

 つまり、人の価値観は産業発展によって変わるのです。

 日本人と中国人の価値観に違いが生じる大きな理由、それは両国の「文化」だけでなく、両国の「産業発展のフェーズ」の違いによることも大きいと認識してみてください。そして、この違いは、不変のものではない部分も多いと認識してみて下さい。

 そうとらえることで、今の、そしてこれからの中国人像がもっと正確に捉えられる。私は、そう考えます。なんでも「中国人とはこういうものだ」とか、「それは文化の違い」と片付けていると、変化を見誤ります。

 実際、大学生の「企業に求めるもの」ランキングでは、すでに「給与の高さ」というのは年々順位を下げていること、IPHONEのデコレーションに多額のお金を使う人が増えていることなどこの考え方と符合する現象も出てきています。

 今、そしてこれからの中国を見つめるには、「異文化」ではかたづけない姿勢、それが重要です。



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