2011年11月16日水曜日

■再起胸に旅館「柏屋」解体


再起胸に旅館「柏屋」解体
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/news/20111115-OYT8T01253.htm
2011年11月16日  読売新聞

八ッ場ダム水没地再開の日は未定

  八ッ場ダムの水没予定地、長野原町の川原湯温泉でまた一つ、老舗旅館が姿を消す。最大収容人数(150人)を誇った「柏屋」が15日、国との移転補償契約に基づき、取り壊し準備に入った。豊田幹雄社長(45)と若女将(おかみ)の香織さん(38)は、ダムが出来れば湖畔になる移転先での再開を期すが、代替地の工事は遅れている。夫妻は不安を抱えたまま、由緒ある看板を下ろした。

 柏屋はダム中止騒動の影響で「先行きが見えない」と昨年4月から宿泊営業を休業していた。
 2009年秋の政権交代後、川原湯温泉街で7軒営業していた旅館は5軒に減少。柏屋の隣の「高田屋」も4月に更地になった。

 柏屋ではこの日、新館の内装解体に着手した。建物自体を取り壊すのは年明けの予定という。幹雄社長は「めそめそしていても仕方がない。看板にも2、3年、休息してもらい、次へのステップにしたい」と前向きに語った。

 代替地が完成していない状態での取り壊しについては「不安だが、民主党政権で今後、どうなるか分からない。補償をもらえるうちに契約し、資金を蓄えたかった。世間にも上(代替地)の新しい場所で再開するというアピールになるし、野田首相や前田国交相に『早くしてくれ』と訴える狙いもある」と明かした。

 柏屋は江戸末期に創業。1950年築の木造3階建て本館とその後に建て増しした鉄筋4階建て新館に30室を備え、ピーク時には年間約2億円近い売り上げがあった。しかし、近年はダム問題の影響などで観光客が減り、赤字経営が続いていた。宿泊営業をやめた昨年4月以降は、不定期に日帰り入浴客を受け入れながら、蓄えを切り崩す日々だった。

 今後、代替地に温泉と介護の混合施設を営む青写真なども描いているが、移転予定のJR川原湯温泉新駅付近は、用地交渉の難航などで整備が遅れている。

 昨年5月に幹雄社長と結婚し、女将修業中の香織さんは「何年先に旅館ができるかわからず、将来の話が夢物語のようで、すごく歯がゆい」と打ち明けた。



0 件のコメント:

コメントを投稿