2012年1月22日日曜日

■【コラム】人口ボーナス時代の終わり


【コラム】人口ボーナス時代の終わり
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2012/01/21 11:07車学峰(チャ・ハクポン)特派員

 日本では昨年以降「欧米の経済危機は長期化する」と予測する声が相次いでいる。その根拠は「人口構造の変化」だ。不動産バブルの崩壊による金融危機に続き、最近は財政危機にも直面している米国、スペイン、ギリシャ、ポルトガルなどは、2005年から10年の間に「人口ボーナス」から「人口オーナス」の時代に推移した。「人口ボーナス」とは生産年齢人口(15-64歳)が急増し、若者による旺盛な消費と生産が経済成長をけん引する時期を指す。一方の「人口オーナス」は、高齢者の割合が増加して消費と生産が減少するだけでなく、福祉費の負担が大きくなり、成長率が低下する時期を呼ぶ。これら欧米先進国ではすでに人口ボーナスという成長軸が失われているため、経済危機から抜け出すのは非常に困難との見方が支配的だ。

 「高齢化大国」と言われる日本も、人口構造の変化による影響をまさに実感している。1960年代以降「米国に追いつき追い越せ」をスローガンに急成長を遂げた日本は、1990年代に入ると不動産バブルの崩壊と金融危機に陥り苦しむようになった。それからすでに20年が経過したが、日本は今も低成長の悪循環から抜け出せていない。これには生産年齢人口の減少が決定的な影響を及ぼしている。人口ボーナス時代が終わって自動車や住宅はもちろん、チョコレートやビールに至るまで販売が急速に減少している中、世界でもトップレベルの技術力を誇る日本も、こうした状況に対して何の対策も打ち出せずに問題を先送りしている。

 2008年に米国でリーマン・ショックが起こった当時、危機は短期間で収束するという見方が支配的だったが、その理由の一つが「日本の反面教師論」だった。欧米諸国は「日本政府は構造改革など政策面で失敗したため、景気の落ち込みが長期化した」などと批判した。これに対し、日本銀行の西村清彦副総裁など日本の専門家たちは「欧米が本当に得るべき教訓は人口衝撃だ」と警告した。米国はリーマン・ショックの際に構造改革や巨額の財政出動など、1990年代の日本とは正反対の政策に取り組んだが、危機を収束させるどころか、最近ではフランスやイタリアなど欧州9カ国の信用等級も下落してしまった。財政状況を無視したまま福祉費拡大を訴えるポピュリズム的政策も、日本では人口構造の変化によって説明されている。高齢化が進めば政治家は選挙で高齢者の票を意識せざるを得ず、福祉費の削減といった苦痛を伴う政策がやりにくくなるというのだ。

 日本の識者のさらなる懸念は、現在、世界経済のけん引役となっている中国も、人口ボーナス時代が終わりに近づいているという事実だ。「一人っ子政策」を国民に強制した中国は、2015年ごろを境に生産年齢人口が減少する。これにしっかりと対応できなければ、バブルの崩壊と金融危機に直面するという見方だ。もちろんこれには中国に対するけん制と、日本政府の無能さに対する言い訳との反論も出ている。日本と同じ時期に生産年齢人口の減少に直面したドイツも、一時は低成長に苦しんだが、高い生産性と優れた技術力を基に、輸出を増やして経済危機を克服している。

 このように、人口衝撃論はやや誇張されている面もあるが、日本よりもはるかに早いペースで高齢化が進んでいる韓国にとっても他人事ではない。選挙イヤーを迎えた韓国では、これまで以上に成長と福祉に関する論争が激しくなるだろう。しかし、経済的な環境を根本的に変えてしまう人口問題についてはあまりにも無関心だ。



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