2012年4月27日金曜日

■【海外情報ブログ】スイス人の渇きを癒して60年


【海外情報ブログ】スイス人の渇きを癒して60年
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0417&f=column_0417_008.shtml
【コラム】 2012/04/17(火) 11:09

 スイス現地生情報スタッフブログ

一般スイス人にとってお茶とはいわゆるハーブティーを指し、ハーブティーは日常飲料として味を愉しむというよりも体に何らかの異常や不調を感じたときに薬効を期待して飲むものだ。なので「ハーブティーをよく飲む」などという話をすると「体調悪いの?風邪ひいてるの?」と聞かれたりする。

効能がどうこうという話は関係なく日常的に各種のお茶に親しんでいる日本人が海外(特に欧州)に旅行に行って体験する不自由のひとつに、甘くない無発泡飲料の少なさがある。水はガス入りのものが大半を占め、水以外のペットボトル入り飲料はほぼ間違いなく甘く、たまに見かけるお茶も必ず柑橘類やモモなどのフルーツフレーバーが付いている(そしてもちろん甘い)。レストランのドリンクメニューにはコーラやファンタはあってもウーロン茶やジャスミン茶はない。そもそもスイス人を始めとする欧州人は、ガス入りで甘い飲料が好きなのだ。喉が渇いた時に嬉しいのはレモネードじゃなくて麦茶じゃないのか!?というのは日本人ならではの感覚なのかもしれない。

そんなスイスで今年誕生から60周年を迎えた「国民的炭酸飲料」がリヴェラrivella。

どんな小さな田舎村の商店でも場末のレストランでも必ず手に入り、スイス人でこの名前を知らない人はいない。私の経験から言うと、何か冷たいものを飲みたいスイス人が何を飲もうか迷った時にはかなりの確率で「じゃあリヴェラ」となる。スキー場のレストランで店前に出されている看板にもリヴェラの文字が輝いている。

日常生活ではビール以外の炭酸飲料をほぼ飲まない私の家でもリヴェラは常備品のひとつ。リヴェラは茶色いボトルに入った薄黄色の微炭酸飲料で、原料の35%がミルヒセルムMilchserum(=乳清)というもので出来ている。ミルヒセルムというのはチーズを造る過程において凝固させた牛乳の成分から分離するモルケMolkeと呼ばれる物質から得られる液体(ヨーグルトの上部にしばしば見られる薄黄色の透き通った液体もミルヒセルムだ)で、モルケはいわばチーズを作る時には必ず発生する副産物だ。ミルヒセルムは超低脂肪(モルケの段階でほぼ無脂肪状態なので)&低蛋白質ながら水溶性ビタミンやミネラルがたっぷりという「優れた残り汁」なので、これを廃棄せずにどうにか利用しようというのがリヴェラ開発の始まりだったとのこと。栄養補給とすっきりリフレッシュが同時に行えるリヴェラは、ハイキングやサイクリング・スキーなどスポーツや屋外活動のお供にはもってこいだ。

商品展開はロートrot(赤ラベル、スタンダード)とブラオblau(青ラベル、低糖・低カロリー)の2種類に近年グリューンgrun(緑ラベル、果糖使用・緑茶抽出成分配合)とゲルブgelb(黄ラベル、ミルヒセルムの代わりに豆腐の製造過程で発生する「大豆セルム」使用)の2種類が加わった計4種類。量販店では500ミリリットルもしくは1.5リットル入りのペットボトルが主流だが、レストランで注文するとガラス瓶入りのものが出てくる。60周年を迎えたのはスタンダードの「リヴェラ・ロート」だが、低糖・低カロリーのブラオも1959年には既にスイス市場にあったというのだから驚きだ(そもそもはメーカーがオランダの糖尿病団体から依頼を受けて1958年に開発したのだそうだ)。いわゆる「ライト飲料ブーム」というものが欧州に広まったのは1980年代に入ってからのことなので、発売当時は低カロリー飲料というのは珍しかったはず。リヴェラ・ブラオは欧州における健康に配慮した清涼飲料の先駆け的存在だと言える。

肝心の味はというと、面白いことに「牛乳の親戚」とか「チーズの副産物」という感じは全くせず、強いて言えば刺激が穏やかでクセのない薄甘ジンジャーエールといった感じだ。炭酸飲料が苦手でなければおおよそ好意的に受け入れられる味だし(私は好きだ)スイス以外ではあまりメジャーな飲み物ではないので、機会があれば是非お試しいただきたい。

炭酸も甘いものも苦手なのでやっぱりガス無しの水を買いたいという場合には、商品ラベルに書いてある小さい文字を頑張って読んで「オーネ・コーレンゾイレ Ohne Kohlensaure」(=炭酸無し)という但し書きのものをお求め下さい。レストランで注文する際も同様に「ミネラルワッサー、オーネ・コーレンゾイ レ ビッテ!」と言うと確実です。



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