2012年5月17日木曜日

■社会・論評  若者言葉で何が悪い!


社会・論評  若者言葉で何が悪い!
http://get.nifty.com/cs/catalog/get_topics/catalog_120411001510_1.htm
2012.04.1110:30
     
若者を批判した言説で、とくに社会に流布しているものを、評論家の後藤和智さんは俗流若者論と呼んだ。それは、若者が関わる少数の事件、事故、風潮、そして出来事を、さも若者全体の問題であるように論じ、若者を批判するような議論のことである。

たいていの場合、自らの溜飲を下げることを目的とした、若者ではない人たちによる戯れ言である場合が多い。老人が「最近の若者は……」などと言うのと同じであることが多い。たまたま目に付いた若者が、自分の気に入らないことをしたり、気に入らないことを言ったときに、あくまでも自分の価値観を元に文句を言うのである。

福井新聞に「若者言葉『ヤバい』は“万能語” 略語氾濫、説明力不足に」という記事が掲載された(2012年4月10日付)。「おいしい、すてき、かっこいい…。現代の若者はこれらを『ヤバい』の一言で表現する」とした上で、「日常会話に入り込むメールやツイッターの短い表現。『ヤバい』などの“万能語”や略語の氾濫は、用語力や説明力不足につながるとの懸念が強い」と、「現代の若者」をやんわりと批判している。

記事では、「ヤバい」のほか、「ヤむ」、「あけおめ ことよろ」、そして「メールで『っ』を打つが面倒」なので「『しまった』『分かった』は『しまた』『わかた』にする」という事例を紹介する。そして大学生の「普段、何でも『ヤバい』だけで会話を成り立たせるからか、先生と話す際に正しい言葉を思い出せない」という声や、「生徒の説明能力が年々低下している。単語の羅列が多く、話がかみ合わない」という高校教諭の話を紹介している。

ほんとうにそうなのだろうか。日本語など、これまでもこれからもさんざんゆらぐであろう。時代や文化の変化とともに、日本語も変化していくと思うし、「万能語」にしろ略語にしろ、不必要なものは使われなくなり、自然に消滅していくであろう。新聞記事だから仕方がないのかもしれないが、記者が「自分の価値観に合わない」と思い、限られた若者や若者ではない人を取材し、若者批判という結論ありきの文章を書いているようにも見える。

同年代とのコミュニケーションでは、「万能語」や略語を使っている若者も、フォーマルな場面ではしっかりとした日本語を使っているかもしれない。逆に、会社や飲み屋で若い女性に気に入られるために、あえて「万能語」や略語を使っているおっさんだっていると思われる。筆者に言わせれば、「万能語」でも略語でも、使うのは大いにけっこう、である。

もちろん、しっかりとした日本語を使えた上で、「万能語」や略語を使うのがベストだ。とはいえ、それを言うなら、けっして若者に限ったことではない。筆者は、このような指摘をすることにより、若者に媚びを売るつもりなど全くない。だが、紹介した記事が「現代の若者」というくくりで書かれていることには、「それは違うでしょう」と強く言っておきたい。


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