2012年10月7日日曜日

■【コラム】サムスンが略奪され、現代車が燃やされる日


【コラム】サムスンが略奪され、現代車が燃やされる日
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/10/07/2012100700127.html
2012/10/07 08:08 朝鮮日報

 トヨタ車が燃やされ、パナソニックの売り場が略奪に遭った中国の反日デモは、正常な国家間関係ではあり得ない野蛮な状況にまで達した。被害者は日本だったが、韓国社会では中国を支持する反応が少なくなかった。先週のデモを報じた朝鮮日報のウェブサイト「チョソン・ドット・コム」の記事には「日本の自業自得」「デモが収まらないことを望む」といった読者の書き込みが相次いだ。過去を否定し、他人の土地を狙う日本がひどくやられた、というのが韓国人の正直な心情だった。

 しかし、対岸の火事で済ませてよいのか。中国の群衆が日系のスーパーマーケットに乱入し、略奪に及ぶ場面を見て、いつかはわれわれも同じ目に遭うのではないかと感じた。今はトヨタとパナソニックだが、そのターゲットが現代自動車とサムスン電子に変わらないとは言い切れない。中国の反日デモ隊は「愛国無罪」というプラカードを掲げる。暴力的ナショナリズムに達した中国式の愛国は相手を選ばず、韓国だからといって容赦しないはずだ。

 韓国は既に巨大中国の容赦ない愛国主義で苦々しい経験をしてきた。韓国のプライドに深いトラウマを残した12年前のニンニク騒動が代表的だ。当時、韓国政府が中国産ニンニクの関税を引き上げたところ、中国は韓国製携帯電話端末の輸入中止で報復した。輸入農産物に対する緊急輸入制限(セーフガード)による関税引き上げは、世界貿易機関(WTO)のルールに従った正当な措置だったが、中国は強引な手段で報復に出た。結局韓国政府は白旗を揚げて降参し、ニンニクの関税を元に戻す羽目になった。

 韓国は2008年の北京五輪で中国の群衆が韓国選手団にやじを飛ばしたのを覚えている。その直前の聖火リレーでは、ソウル都心に数千人の中国人が集まり騒ぎを起こした。中国軍の総参謀長が韓国の国防部長官を前に演説したかと思えば、中国外務省の報道官は違法操業の中国漁船に「文明的な対応」を求めるという開き直った態度まで取った。

 今は中国が険しい表情を浮かべるだけだが、いつ容赦ないナショナリズムが暴力となって降り掛かってくるか分からない。韓中間には大きな懸案が幾つもある。離於島(中国名・蘇岩礁)をめぐる領有権紛争、排他的経済水域(EEZ)の画定問題も懸案として残されたままだ。脱北者問題をめぐる対立も時限爆弾だ。国益をめぐる対立が表面化したとき、中国は韓国に容赦なく報復を加えてくるのは間違いない。

 中国の覇権主義は常態化した問題と見るほかない。中国が大きくなればなるほど、力で押し切ろうとする動きが露骨になるのは明らかだ。問題は韓国側の姿勢だ。韓国には純真にも中国の善意を信じる観念的な親中勢力が存在する。彼らは中国を刺激すべきではないとの理由で海軍基地の建設に反対し、国防力増強の動きにも異を唱える。中国にやられた日本が切った取っておきのカードは日米安保条約だったが、韓国の親中勢力は中国が最も恐れる韓米同盟を弱めるべきだと主張する。

 中国が韓国だけを大目に見るというのは都合の良い錯覚にすぎない。韓国は経済的にも北朝鮮問題などの面でも、日本よりはるかに中国への依存度が高く、中国の脅しに弱い。このままでは、近い将来に暴走する中国のナショナリズムの前に屈服を強要される状況に追い込まれかねない。

 中国に対する経済的、外交的カードを持ち、海軍力を高め、対応能力を強化することは、韓国の国家のプライドと直結する国家存亡の問題だ。しかし、今後5年間の政権を争う与野党の大統領候補者は、誰もその問題に触れようとしない。どうすれば中国の前に奴隷のように服従せず、国家的なプライドを守れるか答えを示すべき候補者たちは、見て見ぬふりで沈黙を続けている。



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