2012年12月7日金曜日

■今の中国に必要なのは日本の経験 いまだ農業国から脱せず


今の中国に必要なのは日本の経験 いまだ農業国から脱せず
http://sankei.jp.msn.com/world/news/121207/chn12120711280002-n1.htm
2012.12.7 11:21 日中関係]

 日中国交正常化から40年になるが、両国関係は冷え込み、国民の間に不安感が広がっている。ただ、中国の製造業界を見る限り、日中間の経済構造はなんら変わっていない。

 数百万あるといわれる日本の中小企業は、不得意な分野には手を出さない職人たちの集まりかもしれない。

 しかし、それは同時に、素材やデザインといった個性を発揮する世界であり、それこそが地球レベルの可能性を持った日本の得意分野でもある。

 ただ、残念なことに日本の中小企業は近年、こうした潜在力がありながら、自らが持つノウハウや経験を発揮できず、萎縮しているように思える。

 しかも、一部企業は悪化する日中関係を受け、中国を逃れて東南アジアに生産拠点を移そうという動きもあるが、果たして賢い選択といえるだろうか。

 少なくとも市場という観点からは、フィリピンやミャンマー、ベトナムに中国に代わる日本の市場があるとは思えない。中国での消費を得られなければ、国際市場で成功を収めるのは難しいだろう。そもそも中国ビジネスにリスクがあるように、他国にもさまざまなリスクがある。

 さらにもう一つ、現段階で中国のマーケットを見限るべきではないという理由を挙げれば、中国の製造業は今、産業構造を転換させる最中にあるということだ。

 中国の工業技術はすでに高いレベルにあるとみる人もいるようだが、中国はまだ農業国から卒業できていない。工業化の基礎を築くには、それなりの歳月が必要となる。つい最近まで農業を主軸としてきた中国で、農民が一夜にして近代工業を背負う労働力を担うことなどできないのだ。

 これに対して、日本は農業国から工業国への転換を果たして久しい。つまり、100年もの歳月を費やして工業化を実現した日本の経験は、今の中国に必要なものだといいたい。

 中国の企業家はここ20~30年、欧米からノウハウや技術を学ぼうとしてきたが、逆に多くを失ったことに気付いた。その中で目指すべきは日本との連携強化であることを知っている。

 こうした中国企業の本音を理解した上で日本の企業家には、政治やイデオロギーを乗り越え、世界観を持った経営判断を期待したい。(剣豪集団会長・鄭剣豪)(フジサンケイビジネスアイ)



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