2012年12月7日金曜日

■キヤノン、中国販売強化―高級カメラ市場が標的


キヤノン、中国販売強化―高級カメラ市場が標的
http://jp.wsj.com/Business-Companies/Technology/node_559355?mod=Right_pickfree
2012年 12月 6日  10:33 JST

 スマートフォン(多機能携帯電話、スマホ)の普及や消費者の嗜好の変化に対応し、キヤノンは中国投資を強化する。収益性が高いにもかかわらずほとんど開拓されていない高級デジタルカメラ市場で商機をつかむのが狙いだ。 景気鈍化に加えて、反日デモ後も政治的緊張が継続する中で中国事業の拡大を目指すことになるが、難問はそれだけではない。スマホの急速な普及とソーシャル・メディア利用者の急増によって、スマホで撮影した写真をすぐに共有するスタイルが定着してきており、シャッターを押すだけのコンパクトカメラは魅力を失いつつある。

 スマートフォン(多機能携帯電話、スマホ)の普及や消費者の嗜好の変化に対応し、キヤノンは中国投資を強化する。収益性が高いにもかかわらずほとんど開拓されていない高級デジタルカメラ市場で商機をつかむのが狙いだ。 景気鈍化に加えて、反日デモ後も政治的緊張が継続する中で中国事業の拡大を目指すことになるが、難問はそれだけではない。スマホの急速な普及とソーシャル・メディア利用者の急増によって、スマホで撮影した写真をすぐに共有するスタイルが定着してきており、シャッターを押すだけのコンパクトカメラは魅力を失いつつある。

 キヤノンは中国での年間売上高について、現在の約30億ドル(約2460億円)から今後5年をめどに100億ドルに増加させることを目標としている。同国にある事務所数は昨年21カ所だったが、今月末までには32カ所になる予定だ。

 小澤秀樹常務取締役はウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで「中国はキヤノンにとって最も重要な市場」と語った。

 巨大な中国市場で現在キヤノンが営業しているのは、ほんの一部であるが、販売チャンネルは広がっている。そのため、難しい問題はあるものの、今後は成長を期待できるという。中国には人口100万人以上の都市が300都市以上あるが、十分にカバーしているのは上位16都市に過ぎず、残りの大都市はほとんど開拓されていない。

  キヤノンは10月下旬、2012年12月期連結決算見通しを発表、売上高は3兆5300億円、純利益は前期比5.9%減の2340億円になるとした。同社は中国事業の業績を開示していないが、黒字であることを明らかにしている。

 日本の家電セクターが業績不振に苦しむ中で、カメラ・メーカーは例外的に底堅い業績を示している。キヤノンやニコンといった大手は、日本がレンズ、センサー、画像処理プロセッサーなどの重要な分野で技術的な優位性を保っていることもあり、海外の競合他社の一歩先を進んでいる。アナリストによると、一眼レフカメラや交換レンズの製造には模倣の難しいノウハウが必要なため、新規参入がなかなか難しいという。

 一方、スマホで撮ったスナップ写真をフェイスブックなどのソーシャル・メディアのサイト上で共有するユーザーが世界中で増えている。モバイル機器向けに様々なアプリが出回り、サイト上での写真共有は前より簡単に楽しめるようになったためだ。同時に、このようなトレンドによってコンパクトカメラは以前ほど消費者の心を引き付ける製品ではなくなってきている。

 みずほインベスターズ証券のアナリスト、倉橋延巨氏は「キヤノンのカメラ事業にとっての脅威は、競合他社というよりも、むしろ(スマホによって)人々の写真の撮り方、共有の仕方が大きく変わってきているということにある」と指摘した。

 JPモルガン証券のシニアアナリスト森山久史氏は、コンパクトカメラの世界市場が今後5年間で2.7%縮小する一方で、レンズ交換式カメラの市場は14.3%成長すると予測している。その主な要因はスマホ利用の増加だという。

 キヤノンの小澤常務も「ローエンドのとりたてて特長のない(コンパクト)カメラは、おそらく淘汰されてくるだろう」と述べた。

 尖閣諸島の領有権をめぐる日中の対立によって火が付いた反日運動のあおりで、中国の国民や企業の一部で日本製品をボイコットする動きが生じるなど、今年は中国問題がキヤノンの業績を直撃した。小澤氏は反日感情の高まりについて、「うちだけではなく、日本企業は大なり小なり何らかの影響を受けている」と指摘した上で、一番ひどかったのは9月と10月ごろで、その時期の落ち込みは、中国事業の今年の業績にも影響するだろうとの見方を示した。ただ、「現在は、影響はもうほとんどない」という。

 さらに、キヤノンは多くの企業と同様、景気減速の悪影響にもさらされている。中国の第3四半期の実質国内総生産(GDP)の伸び率は前年比7.4%と、第2四半期の7.6%から鈍化した。キヤノン(中国)有限公司社長として現地に駐在する小澤氏の話では、家電小売店への客足は悪くないが、実際に商品を購入する客が減っているという。

 中国のカメラ市場では特に、交換レンズ式高級モデルの需要が好調だ。裕福でブランド志向の消費者の間では、高級カメラもグッチのハンドバッグのようにぜいたく品と見られていると、小澤氏は指摘する。

 キヤノンは中国の消費者が同社製カメラに触れる機会を増やそうとしている。今年、北京や上海、広州などの主要都市に仮設ブースを設置、通りがかった人々が各種一眼レフカメラやレンズで試し撮りできるようにした。

 深圳のギフトショップで働く20歳代の女性は、普段は携帯電話で写真を撮るという。ただ、「いい写真を撮るにはカメラが必要で、旅行の時は絶対にカメラを持っていく」と付け加えた。

記者: Juro Osawa



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