2012年12月6日木曜日

■ウォール街のボーナスはやや回復も企業パーティは縮小


ウォール街のボーナスはやや回復も企業パーティは縮小
http://jp.wsj.com/US/node_559483?mod=Center_Column
2012年 12月 6日  13:35 JST【津山恵子のアメリカ最新事情】

 ニューヨークの年末商戦が本格化し、街は観光客と買い物リストを手にした買い物客であふれ、例年通りの活況だ。しかし、一向に加速しない景気回復の足取りや、不安定な株式市場の動きなどが影を落とす。ニューヨーク市経済に大きな影響を与えるウォール街の実態はどうなっているのだろうか。

 米給与コンサルタント会社のジョンソン・アソシエイツによると、主要銀行8行を含む米金融機関での年末ボーナスは、前年比0-10%増となる見込み。8月には5−15%増と見込まれていたため下方修正だ。とはいえ、昨年は最大30%の減少だったことに比べれば、今年はやや上向いたといえる。

 各金融機関は、年末までの業績見込みをみながら、どの社員にいくら支払うのかを決める。同社によると、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、JPモルガンチェース、バンク・オブ・アメリカの4社で総額924億9千万ドル(約7.57兆円)がボーナス向けに留保されている。これは、前年の928億1千万ドルよりやや減少した。

 しかし、ほかの業種に比べればボーナスの額は破格に高く、最低で10万ドルから、100万ドルを超えるボーナスを受け取るトッププレーヤーまでいる。それがこれまでは住宅や新車の買い換えや、休暇旅行の費用に充てられ、ニューヨークと全米の経済に貢献してきた。

 ボーナス額が最高だったのはリーマン・ショック前の2007年で、ゴールドマン・サックスのブランクファイン最高経営責任者(CEO)は6850万ドルという、CEOとしては過去最高のボーナスを受け取ったことで有名だ。

 ところが、今年のボーナス増額は、金融機関の体力を反映していないのも事実だ。ウォール・ストリート・ジャーナルの「米大手金融機関、12年は減収も報酬が過去最高に」によると、大手金融機関の収入は2年連続で減少する見込みになる。ところが、従業員への平均報酬は前年比4.2%増となるという。

 ニューヨークの隣、ニュージャージー州の地元紙NJニュースは、シティバンクが、今年すでに削減した1200人に加えてさらに150人を削減する計画と報じた。投資銀行と証券の両部門では、最高で10%のボーナスの減額が予定されているという。業績によって企業の間で明暗が分かれたことが分かる。

 もう1つ、ニューヨークの年末経済に貢献してきたのは、企業が開くパーティだ。

 2007年まで、ウォール街の金融機関や弁護士事務所がホテルや高級レストラン、歴史的建造物を借り切って開く派手なパーティは、ニューヨークの年末の風物でもあった。社員だけでなく家族や友人まで招待し、有名俳優やバンドを呼び、シャンパンシャワーや氷の彫刻を配し、一年の労をねぎらう。会場となるレストランや美術館の周りには、ロングドレスと黒ネクタイの人々、タクシーがひしめいていた。

 しかし、そんな光景を見なくなって久しく、今年も過去のような派手なパーティを見られる気配はない。

 ある大手メディア企業は、以前はニューヨーク・パブリック・ライブラリーという築100年の大理石の建物で、15万ドルもかけて丸天井のある大ホールを借り、社員忘年会を開いていた。ところがリーマン・ショックの後は、コスト削減で、社内の各部門でケータリングを使ってパーティを開いているという。今年もそれが踏襲される見込みだ。

 一方、グーグルやアップルなどハイテク企業が集まるカリフォルニア州のシリコンバレーでは、やや事情が異なる。今年グーグルを辞めてヤフーのCEOとなり話題を呼んだマリッサ・メイヤー氏は、ツイッターで社内忘年会の様子を写した写真をアップした。

 「(ロックバンド)トレインが演奏。エキサイティングなヤフーの忘年会」

 写真は、グラミー賞受賞の有名バンドが大ステージで演奏する様子を撮影したもので、ステージの大きさからも会場の広さがしのばれる。

 米景気回復の遅さは、ニューヨークのような伝統的なサービス産業が集積する都市では、シリコンバレーよりも重たくのしかかっている。

 ケータリングでも社内パーティを開けるところはまだ幸いだ。市内では今年後半にかけて、空店舗が目立ち始めた。リーマン・ショック以降を生延びたにもかかわらず、景気回復が遅いために、賃貸の更新をすることができず、事業を撤退する自営業者らが多いことが分かる。華やかな年末商戦の一方で、景気回復の遅さを痛感させられる風景だ。




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