2013年1月2日水曜日

■世代間対立:20・30代に送る手紙


世代間対立:20・30代に送る手紙
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/01/01/2013010100665.html
2013/01/01 11:59 朝鮮日報

幼いころアジア通貨危機で失業した両親を目にし、長じてからは青年失業の泥沼に…君たちの暮らしにはなぜ苦痛がつきまとうのか
泰安半島に油が流れ着いた時、とにかく駆け付ける姿を見た
痛みに共感できる君たちは、どの世代よりも美しかった
君たちの半数は、この土地ではなく、地球村を舞台に駆け回ることになるだろう
がんばれ。君たちの後ろにはわれわれがついている。

   
▲崔在天(チェ・ジェチョン)梨花女子大学碩座教授(寄付金によって研究活動を行えるよう大学の指定を受けた教授)は、20代・30代に「これからは世代を超えて世界に乗り出せ。わたしは、皆さんが切り開いていく世の中は、これまで生きてきた世の中よりもはるかに良いものだと確信している」と語った。

 うれしいです。いつの間にか気軽な日常の対話すら難しくなっていたわれわれが、こうしてお互いに新年のあいさつを交わせて、本当にうれしいです。わたしはこれまで、韓国社会のさまざまな対立について、自分なりに少なからず悩み、戦ってきた人間です。自然環境をめぐる開発と保全の間の対立。家長制廃止をめぐる男女の対立、少子化・高齢化時代がまねいた世代間の対立…。けれども経験してみると、男女対立や環境対立は、何らかの形でいつかは合意することになるけれど、世代対立は、下手すると永遠に平行線をたどったり、もっと拡大するかもしれないと悟りました。今回の韓国大統領選挙で表面化した20-30代と50-60代の間の隔たりは、フタをして封ずるには余りに熱い火種です。

 50-60代とそれ以前の世代は、皆さんの貧困な歴史観を非常に懸念しています。何も持たず、継承したものもお粗末だった国が、わずか半世紀ほど前には戦争で完全に廃虚と化し、そして今では世界唯一の分断国家として残っているというこの厳然たる現実に、余りにも寛大な皆さんを、信頼し難いというわけです。皆さんには、いわゆる「ハングリー精神」がないように見えます。皆さんの暮らしには、なぜ苦痛がつきまとうのでしょうか。皆さんは、アジア通貨危機で失業した両親を見て育ち、今度は青年失業の泥沼にはまり込んでしまいました。世の中をこのようにしてしまった、われわれ世代の罪は大きいです。

 だからわたしはこの辺りで、50-60代に一言申し上げます。前の世代は、なぜいつも、次の世代のことが気にくわないのでしょうか。次の世代が前の世代よりもダメだというのが事実なら、今ごろ人類は滅亡しているのではないですか。わたしは、20-30代を「共感の世代」と呼びます。われわれ50-60代も、ボランティア活動はやります。泰安半島原油流出事故(2007年12月のタンカー事故に伴う原油流出事故)の時、われわれもボランティア活動をしました。しかしわれわれは、あちこち問い合わせてから取りかかります。20-30代は、とにかく駆け付けます。目前のことも片付けられないくらいなのに、後先考えずにとにかく参加します。あしたすぐに試験があるのに、就職準備でよそ見はしていられないのに…。一体何を考えている連中なのかと心配になります。

 しかしここで、少し立ち止まってみて下さい。かつての聖賢は、われわれに対し一様に、他人に配慮し他人を愛せとお教えになりました。これが、われわれが追及すべき最高の善だということには同意なさいますね? ならば目を転じて、20-30代を見てください。とにかく他人を助けようと駆けていく、彼らの後ろ姿が見えるでしょう?

 われわれやわれわれの親の世代は、とりあえず目の前にあるものは何でもつかんで暮らしてきました。春の窮乏期を経験したり、あるいはその影響下で暮らしてきたわれわれは、もしかするとそうすることしかできなかったのかもしれません。しかし、20-30代が世の中の主人公になった今も「とりあえずつかんでおいて、多くつかみ過ぎたと思ったら、それとなくちょっと出しておく」というわれわれの生き方はまだ残っているでしょうか。わたしは、われわれがあれほど願っていた世の中が今、20-30代の友人たちの指先から始まるかもしれないという興奮で胸が一杯です。

 未来学者によると「人生100年時代」を生きる20-30代は、生涯の仕事を少なくとも5回か6回変えるといいます。わたしは大学の講義室で、学生たちに、しばしばこのように話しています。「君たちのおそらく半分程度は、この土地では暮らさないだろう。仕事がある場所なら、地球村のどこにでも走っていくだろう」と。どの世代よりもさらに洗練された国際感覚を持ち、この世の中の誰とでも共感できるのが皆さんです。スペック(学校の単位や語学の成績などを指す)を積むつもりなら、世界を相手に積んでください。人より少し遅れることを恐れず、美しく彷徨してください。彷徨は若さの特権です。

 20-30代の友人たちに、敢えて申し上げます。新しい世の中を開く人々が、前の世代に付き従うというのは、歴史に逆らうことです。わたしは、皆さんが切り開く世の中が、これまで暮らしてきた世の中よりもはるかに美しいと確信しています。わたしが50-60代の同僚の手を取って、皆さんの後ろからついて行きます。皆さんも、われわれが差し出した手を、喜んで取らなければなりません。繰り返しになりますが、世代対立は、互いの大変な努力なしには解決が難しいからです。速く行きたければ一人で歩き、遠くに行きたければ共に歩け、ということです。




0 件のコメント:

コメントを投稿