2013年1月6日日曜日

■“日曜大工のお姉さん” 女子にもDIYブームの時代背景


■“日曜大工のお姉さん” 女子にもDIYブームの時代背景
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/130105/wlf13010518010023-n1.htm
2013.1.5 18:00

 「日曜大工=お父さん」はもう古い-のこぎりや工具片手に、棚を作ったり、壁紙を貼り替えたりと、自分で住まいを居心地よく作り上げていく「DIY」に没頭する女性が増えている。女性初心者向け講座が開かれたり、ネット上で塗り立ての壁や棚など互いの“作品”を公開するなど、輪が広がっている。背景には節約志向や、男性に頼らず自分の力で日曜大工をと考える自立型女子の増加もあるようだ。(木村郁子)

破れる、ゆがむ、切れない…ドタバタも楽し

 大阪府茨木市の雑居ビル1階。昨年12月中旬、綿パンツにエプロンなど、作業着スタイルの20代から40代の女性4人が、「壁紙貼り」のワークショップに臨んでいた。メジャーを手に壁の高さの計測を終えると、1人ずつ、脚立に乗り、約3メートル天井から壁紙をそっと貼っていく。途中、壁紙がビリッと音を立てて破れると、「しまった!」。「気にせず貼り続けください」と講師に言われ、気を取り直し作業を続ける。下まで貼り終えたら竹べらで線を入れて、カッターで切っていく。

 「あれ、切れない」「そこ、ゆがんでるんじゃない?」。戸惑ったり、失敗しながらも、なんとか作業が終了。開始から1時間がたっていた。

 滋賀県近江八幡市の会社員、米山絵理さん(23)は、「今まで壁紙を貼り替えるきっかけなんてなくて、貴重な体験。思ったより簡単にできて自信が付きました。自分の部屋の天井をお気に入りの壁紙で貼り替えて、夜寝るときに眺めてみたいな」と夢を膨らませる。

「女子部」大活躍

 ワークショップを開いたのは、「楽しく、かわいく、美しく」をテーマにDIY活動をするサークル「DIY女子部大阪工房」。珪藻土や壁紙などのDIY用品を扱う企業などが場所や講師を提供、壁紙張りのほか、木工やガーデニング、トールペイントなど、さまざまな講座を開いており、現在、約70人がメンバーに登録している。

 「5年ほど前に手芸やクラフトブームがありましたが、その延長線上でDIYが女性の間で広がっていると感じます。売っているものでは満足できない、家族のために何か作りたい、という女性の気持ちがあるようですね」とDIY女子部近畿支部リーダー、金内まきさん(45)は話す。

 一方、通販会社のフェリシモ(本社・神戸市)では一昨年3月、「フェリシモ女子DIY部」を立ち上げた。社内の垣根を越えてアイデアを出し合うことを目的に推進している「部活動」の一環で、7人の社員が、毎週水曜の午前中に集まり、木工商品の開発などに挑戦。最近では、大阪府堺市の公団住宅の一室を、まるごとリフォームする作業にも取り組んでいる。ホームページも立ち上げてDIYの楽しさを紹介、一般の人たちから「テーブルの塗り替え」「イスの張り替え」など自慢のDIY作品の投稿も受け付けている。

 同社広報部の市川美幸さんは、「生活者として既存のデザインに対して疑問を持っておられる女性の方が多く、それなら自分で、とDIYに取り組む女性が増えているのでは」と話す。

進化する工具

 こういった動きを支えているのが、DIYに欠かせない「工具」の進化だ。角利産業(新潟県三条市)は「女性向け」の工具を一昨年3月に発売。目が細かく切断面の美しい小振りののこぎりや、通常の半分の長さの錐(きり)など、女性が扱いやすい商品をそろえた。北関東を中心に全国に187店舗を展開するホームセンター「カインズホーム」(本社・埼玉県本庄市)では女性を意識した軽量のピンク色の電動のこぎりや、工具箱を持たない女性向けにアルバムサイズで本棚に納めることもできる工具セットを発売している。

 また、コーナン(本社・堺市西区)は、工具の貸し出しを行ったり、木材のカットサービス(有料)など、女性にも日曜大工が広まる手助けをする。「工具も軽量化していますし、さまざまなサービスを利用してもらえれば、女性も十分、DIYを楽しんでもらえます」とコーナンPRO西九条春日出店の鴇田規暁店長は話す。

DIY歴30余年の女優「住まいへの愛着わく」

 「女優・中田喜子のDIY 手作り模様替え工房」(主婦の友社)の著書がある女優の中田喜子さん(59)は、DIY歴30年以上、プロも顔負けの腕前で知られる。

 「20代のとき、仕事でドイツに滞在することがあり、若い夫婦が資材を購入し、自宅を自分たちでリフォームする姿を見て衝撃を受けました。その影響を受けて、帰国してから自宅の壁紙を貼り替えたことがきっかけで、気になったところは自分で直すようになりました」。公演先の楽屋の壁を塗り替えたことも、1度や2度ではない。

 「一気に仕上げようとはせず、時間をかけてこつこつ作ってみてほしい。自分で手を加えることで、家が新たによみがえる。快適に住まうことは住まいの愛着を増すことにもつながります」と中田さんはアドバイスしている。





■団地リノベーションが若者に人気 単身女性にも最適と専門家
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130105-00000004-pseven-bus_all
NEWS ポストセブン 1月5日(土)

 年が明け、引っ越しや住み替えを思いめぐらす季節が近づく。昨年から引き続き、今年も注目を集めそうなのが「団地」だ。団地がリノベーションで再生を遂げつつある。

 昨年、観月橋団地(京都市伏見区・UR賃貸住宅)が、グッドデザイン賞のサステナブルデザイン賞を受賞し話題となった。独立行政法人都市再生機構(UR)は築50年を経た賃貸住宅のリノベーションを、若い世代を意識し、民間事業者に委託。個性的な中古物件などを紹介することで人気の「東京R不動産」の運営に携わる馬場正尊氏などが設計を手掛けた。「KANGETSUKYO DANCHI」として生まれ変わった団地は、子供を持つ30代を中心に、抽選になるほどの人気を集めたという。

 団地再生の動きは全国でみられる。URの一例を紹介しよう。

▼たまむすびテラス/多世代交流型賃貸集合住宅(多摩平の森)
 こちらもグッドデザイン賞を受賞。住居のリノベーションにとどまらず、団地をコミュニティごと見直した先進的な例として話題を呼ぶ。シェアハウス、菜園付き共同住宅、高齢者向け住宅などを整備。


▼MUJI×UR団地リノベーションプロジェクト
 良品計画の子会社で住宅などを販売するムジ・ネットとURが提携。ムジ・ネットは、約55万人のネット会員らとのインターネット上での意見交換を通じて、アイディアを提案する。家具などには無印良品の商品を活用。新千里西町(大阪府豊中市)、泉北茶山台二丁(大阪府堺)、リバーサイドしろきた(大阪市)の3か所がまずは対象。


▼DIY住宅、Petit(プチ)DIY住宅(藤沢台第5・大阪府富田林他)
 DIYができる賃貸住宅。壁を塗る、床を張る、棚を取り付けるといった部屋の一部改造から、キッチンや浴槽の取り換えまで可能。若者のDIY熱の高まりもあって人気が高く、今後、増やしていく方針という。

 そもそもURが団地再生に乗り出した背景には、独立行政法人としての経営上、建て替えが困難になったという事情がある。2007年にURが出した方針では、管理する賃貸住宅約77万戸(2007年時点)のうち、新規に建て替えを行うのは約3万個。約57万戸は、耐震診断などを行った上で、既存の建物を活用していくという。急速な高齢化も進む中、団地の再生は急務となっている。

 団地からDANCHIへ――。こうした動きを専門家はどう見るのか。住宅ジャーナリストの櫻井幸雄氏に聞いた。

「一番の魅力はその安さです。購入するにも借りるにも、民間の住宅より割安です。賃貸の場合、最近は入居条件なども緩和され、一人暮らしでも入りやすくなっている。特に高齢の女性の一人暮らしの方などには向いていると思います。高齢になると、民間の物件は、孤独死などを恐れてどうしても貸したがらない。保証人なども必要になります。その点、UR物件は入りやすい。地域コミュニティが育てばなおさら住みやすくなるでしょう。

 ですが、購入する際には注意が必要。“耐用年数”をよく確認してください。ある人は、購入した3年後、突然、建て替えが必要になったと言われ途方にくれていました。古い物件が多いので、この点がネックになるでしょう」

 また、団地特有の条件も指摘する。

「昭和30~40年代に建てられた団地は、駅から遠いなど、やや交通不便な場所が多いんです。民間に気遣ったためですね。便利な場所に建つ団地もあるけれど、家賃が高くなる。ただ、駅から遠いことを不便と考えるか、静かな良環境だととらえるかは、人それぞれ。ニーズに合わせて団地を選択肢に入れるとよいのではないでしょうか」

 高度経済成長の終えんとともに、過去のものとなっていった団地。有吉佐和子が『夕陽カ丘三号館』で描いたような団地特有のしがらみも、団地のマイナスイメージにつながっていた面もあった。だが、新しい価値観と新しいつながりを求める時代の到来とともに、再び団地が脚光を浴びている。


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