2012年6月8日金曜日

■先進国のぜいたく消費は1.4兆ドル超 欧米で拡大する体験型


先進国のぜいたく消費は1.4兆ドル超 欧米で拡大する体験型
http://jp.wsj.com/Life-Style/node_455872
2012年 6月 6日  18:59 JST ウォールストリートジャーナル

 ハンドバッグや高級車はもう古い。世界の富豪は今やスパでのエステや高級レストランでの食事にもっとお金を費やすようになっている。

 米経営コンサルティング大手ボストンコンサルティンググループ(BCG)が公表した新たなリポートによると、先行き不透明な経済情勢にもかかわらず、世界で最も裕福な12カ国の2011年の高級品・サービスへの総支出額は1兆4000億ドル(約110兆円)を上回った。その半分以上(55%)は、高額なモノではなく、リゾート地への旅行やワインを味わうために費やされている。


南仏の高級リゾートホテル、オテル・デュ・キャップ・エデン・ロック

 従来の高級品への消費は、そうした娯楽や趣味にお金を使う「体験型」消費に急速に取って代わられつつある。欧州では、09~11年の高級品への消費は4%の伸びであるのに対して、体験型消費の伸び率は6%だ。また、米国ではそれぞれ6%と9%だ。

 高級品市場が急成長している中国でさえも、同期間の体験型消費の伸び率は28%と、宝飾品やブランド衣料品への消費の伸び率22%を上回っている。だが、中国の消費者は欧米の消費者と比較して、依然モノにお金をかける傾向があるようだ。高額消費全体に占める体験型消費の割合はわずか40%と、欧州の61%や米国の51%と比較して少ない。

 こうした消費の変化に既に対応している高級ブランドもある。ルイヴィトンやマークジェイコブズなどのブランドを傘下に持つフランスの高級ブランドグループ、LVMHモエ・ヘネシー・ルイヴィトンは、「シュヴァル・ブラン」のブランド名でホテル開発を行っている。シュヴァル・ブランという名前は同社がフランスのボルドー地方に所有するトップワイナリーの1つから取ったもの。現在フランスのスキーリゾート地クールシュベルで1軒運営しているほか、モルディブやパリ、オマーン、エジプトの島にもオープンする予定だ。

 BCGのリポート作成者は、成熟した欧米市場でこうした体験型消費へのシフトが進んでいる大きな理由は人口動態にあると話す。BCGによると、裕福なベビーブーム世代は、退職が近づくにつれ、モノを買うことへの興味が薄れつつある。一方、中国の消費者は高級品を身近に感じ始めて比較的まだ間もないため、靴や自動車などにまだ関心がある。

 中国でもスパや旅行などのサービス市場は急速に成長しつつあるが、その背後にある動機は欧米とは異なる、とBCGのパートナー、ビンセント・ルイ氏は話す。「欧米では自身が楽しむことが目的だ。だがここ中国では、高級レストランでの食事は人を招くことや見られることを意味する。つまり富を見せびらかすことが目的であり、それがステータスなのだ」

 さらにルイ氏は次のように話す。「高額旅行市場は成長しているが、旅行の内容を見ると欧米とは違う。欧米人はツアー旅行をあまり利用しないが、中国人はまだ利用している。ニューヨークのバーニーズへのプライベートツアーやプライベート・ファッション・ショーの観覧などを含む、超富裕層を対象とした招待者のみが参加できるツアーだ。しかもそうしたショーの合間に不動産を買い求めたり、子供を通わせる私立学校を見学したりもする」

 中国の長者番付を行っている胡潤リポートが今週初めに公表した中国の富豪を対象にした調査によると、中国人高額旅行者は団体ツアーを利用しており、ツアーの平均人数は9人。また、調査対象者の85%が自分の子供に海外で教育を受けさせたいと答えており、3分の1が海外に不動産を中心とした資産を既に保有していると回答している。



0 件のコメント:

コメントを投稿