2012年9月11日火曜日

■ホテル選びの常識が激変! 「2012年ホテルランキング」発表


ホテル選びの常識が激変! 「2012年ホテルランキング」発表
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20120830/1042761/
2012年09月04日

 この記事は「日経トレンディ2012年10月号(9月4日発売)」から一部を転載したものです。内容は基本的に発売日時点のものとなります。

「費用対効果」を再定義すべきとき

 ホテル業界の秩序が、そしてホテル選びの常識が、音を立てて崩れている。

 きっかけは、リーマン・ショックと東日本大震災。「出張」「旅行」「インバウンド(海外からの旅行客)」という、ホテルを支える3つの需要がそろって激減し、シティホテルはビジネスホテルの客を、そしてビジネスホテルはシティホテルの客を奪わざるを得ない状況に追い込まれている。

 設備水準はシティホテル、サービス水準はビジネスホテルという新しいタイプのホテルがここ数年の業界のトレンドだったが、最近ではこの傾向がさらに顕著に。東京・浅草で8月に開業したばかりの「ザ・ゲートホテル雷門」は、客室の高級感だけならシティホテルと同等かそれ以上だ。閉館したシティホテルの建物を引き継ぎ、文字通りシティホテルの設備を使ってビジネスホテルを開業する例もある。「京急EXイン 品川駅前」の客室に入れば、誰もが思うだろう。「ああ、これはシティホテルだ」と。

 このような状況下では、ネットのクチコミは頼りにならない。例えば、京急EXイン 品川駅前と、同じ東京の「スーパーホテル東京・日本橋三越前」を、大手宿泊予約サイトのクチコミで比べてみよう。利用者による星評価は、前者が4.27点、後者が4.22点。この0.05点の差は一体何だろうか。クチコミの中身を見てもわからない。どちらのほうが快適に過ごせるのか。どちらのほうが便利な立地なのか。どちらのほうが充実した設備なのか。全くわからない。

 単純に客室面積で比較すると、EXインのほうが2倍以上も広い。交通至便で、設備も圧倒的に充実している。なのになぜ、狭く設備も最小限なスーパーホテルと0.05点しか差がないのか。それは、スーパーホテルが単純に安いからだ。

「シティかビジネスか」で選ぶ時代ではなくなった

 このように、「ビジネスホテル」という一つの枠組みで多種多様なホテルを扱う予約サイトのクチコミからでは、ホテルの実力のごく一端しか垣間見ることができない。比較は公正とはいえず、自分の目的に合ったホテルを選ぶこともできない。

 ホテルはもはや、「シティか、ビジネスか」で選ぶ時代ではなくなった。最高級の「ファースト」、最廉価の「エコノミー」、そしてその中間に位置する「ビジネス」。この3つのクラス分けで整理すれば、今のホテル選びの新しい軸が、新しいスタートラインが見えてくる。

ホテルは3クラスに分けて考える

ファーストクラス
客室が広いのは当たり前。質感の面では、単に高級なだけでない、記憶に残るインパクトとオリジナリティを備えた高級ホテル。サービス面では、今回の評価対象であるコンシェルジュが常駐し、眺望や無料で使えるプールなど「スペシャル」な要素を売りにするホテルも多い。料金は1泊数万円と非常に高い


ビジネスクラス
「ビジネスホテル」と呼ばれているもののなかでも高級な部類のホテルで、最低でも15m2以上(公称値)の客室面積を確保。「仕事・レジャー両対応」をうたい、客室に高級感を持たせる例も多い。最近は差別化が進み、コンシェルジュを常駐させるホテルも。1泊の料金は5000円前後から2万円前後とばらつきがある


エコノミークラス
単身の出張客をメインターゲットに据える。人的サービスと呼べるものはチェックイン・チェックアウトくらいだが、それすら切り詰めるホテルも。市場の二極化で、料金は安く、客室は狭くなる方向。5000円強の料金帯が中心で、客室に高級感は望むべくもないが、設備の充実度で差別化を図るホテルは多い

ランキング発表! 日本の“最得ホテル”は?

 今回、日経トレンディでは全国の最新ホテルのすべてをこの3つの基準で分類。「アクセス」「スマートさ」「朝食」「スペシャル」という、今のニーズを踏まえた4つの基軸を評価に盛り込み、ホテルの徹底的な“再仕分け”を行った。真に満足度の高いホテル、そして真にコストパフォーマンスの高いホテルはどこか。

 総合得点で1位を獲得したのは、この5月に開業した「パレスホテル東京」。上位のホテルに共通するのは、高級ホテルながらも最新の設備を柔軟に取り入れ、ホテルの「格」とユーザーニーズのバランスをうまく取っていることだ。

 パレスホテル東京の地下にはコンビニが入居している。このクラスのホテルといえば、軽食はルームサービスやミニバーで提供、ロビーラウンジで1杯1000円超のコーヒーを販売してきただけに、これはパレスホテルの英断ともいえる(パレスホテル東京にもロビーラウンジはある)。

 上位のホテルの多くは客室に無線LANを完備しており、今の時代に求められる仕様を網羅。結果、東京と大阪のファーストクラスのホテルが上位を独占する結果となった。

順位 ホテル名 都市
1位 パレスホテル東京 東京
2位 シャングリ・ラ ホテル 東京 東京
3位 ザ・ペニンシュラ東京 東京
3位 マンダリン オリエンタル 東京 東京
5位 ザ・リッツ・カールトン東京 東京
5位 セント レジス ホテル 大阪 大阪
7位 パーク ハイアット 東京 東京
8位 ザ・キャピトルホテル 東急 東京
9位 コンラッド東京 東京
10位 ザ・テラスクラブ アット ブセナ 沖縄・ビーチ

日経トレンディ10月号「ニッポンの最得ホテル」特集では全国11都市にある最新ホテル132軒をすべて泊まって調査し、全ホテルをランキング形式で紹介している。
(文/有我武紘=日経トレンディ)



0 件のコメント:

コメントを投稿