2012年9月20日木曜日

■尖閣諸島国有化に対する反日デモ激化―中国「戦争も恐れない」


尖閣諸島国有化に対する反日デモ激化―中国「戦争も恐れない」
http://jp.ibtimes.com/articles/35216/20120919/297918.htm
2012年9月19日 06時12分 記者: ERIC LINTON 翻訳者: 加藤仁美 |

 日本による尖閣諸島(中国名:釣魚島)の国有化に抗議する反日デモが激化。これに対し中国公安(警察)は厳重な警備態勢を敷き、抑え込みを強めている。


 日中間の長期的懸案であった尖閣諸島問題だが、11日に日本政府が尖閣諸島の国有化を決定した。これに対し中国では、尖閣諸島は中国のものであると主張し、国有化への抗議運動が高まっている。尖閣諸島の近海に膨大な量の天然ガスが埋蔵されていることも問題を複雑にしている。

 中国政府は日本に対し島の国有化を直ちに撤回するよう要求、中国軍も報復措置を示唆する異例の声明を発表するなど、緊張が高まっている。

 ロイター通信によると、北京の日本大使館では15日、敷地内に進入しないよう警戒線が張られた。抗議デモ参加者が日本大使館を包囲し、卵やペットボトルなどを投げつけたほか、日本の首相を北京に呼ぶように、また、尖閣は中国所有の島であると抗議した。

 レオン・パネッタ米国防長官は訪日の途上、記者団に向けて「尖閣諸島をめぐり日中間で緊張が高まっていることについて挑発行為が続けば、当事者の一方あるいは他方が判断を誤り暴力に訴え、紛争化する可能性がある」と述べ、強い警戒感を示した。パネッタ長官はさらに「紛争は、拡大する恐れもあり、アジア太平洋地域の島をめぐる紛争に誘発されて米国など他の国々を巻き込む紛争に発展する可能性もある」と懸念し、尖閣問題に関して日中に自制を促す姿勢を示した。その際、この問題について米国が中立であるということも強調された。

 16日には中国との国交正常化以来、最大規模の抗議運動が行われた。香港近郊の深圳(シンセン)では、通りを占拠した数千人のデモ隊を散会させようと、警官隊が催涙弾や放水銃、唐辛子スプレーを使用した。中国広東省の省都の広州(カントン)では、デモ隊が日本領事館隣のホテルに押し入り、日本食レストラン内部を破壊したとAP通信は伝えている。

 デモ隊は日本の百貨店を襲撃し、警官の盾を奪ったりヘルメットを叩いたりするなどして両者の間に緊張が高まった。さらにデモ隊は商店を略奪し、少なくとも5つの中国の都市で日本車やレストランが襲撃された。また、東部の青島(チンタオ)では15日、多数の日系企業の工場などが襲撃を受けた。

 19歳の中国人学生シャオ・ジングル(Shao Jingru)さんは、「日本が引き下がらないなら戦争するべきだ。中国人は恐れない」と述べた。

 また北京で抗議デモが行われている現場を通りかかった現代美術家で、人権活動家のアイ・ウェイウェイ(艾未未)氏は、ロイター通信に対し「デモは中国政府と警察から認可を受けている」との見方を示した。

 そしてウェイウェイ氏は「中国国民は日本政府に礼を言わねばならない。自国で初めて大規模な抗議活動ができたのだから。中国では人民によって組織された抗議活動はない」と述べた。


 野田総理大臣はNHKの「日曜討論」で、沖縄県の尖閣諸島の国有化を巡る中国各地の反日デモについて「残念ながら在留邦人や日本系企業の安全に関わる問題だ。中国政府に対し、抗議するとともに、安全確保を強く求めていきたい。日本の国旗を燃やすなどの事態が起きていることにも強く抗議している」と述べた。

 野田政権は21日に民主党代表選挙に臨む。中国に弱みを見せたくない思惑がある。

 一方、10月に開催が予定される中国共産党第18回全国代表大会で指導部の世代交代を控えた中国の胡錦濤国家主席。反日愛国主義政策を進めた江沢民前主席派と激しい権力闘争を展開している。

 胡錦濤国家主席は9日のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議での野田佳彦首相との立ち話で、野田政権が進める沖縄県・尖閣諸島の国有化に「断固反対する」と強硬姿勢をあらわにしたことが中国でも大きな関心を集めている。「日本に弱腰」とのレッテルで足をすくわれないよう警戒を強めている。胡錦濤国家主席の事実上後継者とされている習近平(Xi Jinping)国家副主席は沈黙を保っているが、2週間後どのような態度を示すのか。

 中国の国営メディアは怒りを「合理的」に表現することを賞賛する。しかし、暴力は中国に対して裏目に出る可能性があると警告している。新華社通信は、抗議行動は日本の挑発行為に「合理的な動きと自然な反応」だと述べている。

 中国メディアは、日本製品のボイコットを一般の中国人に呼びかけている。ある地方新聞はボイコットを求める声とともに、知名度の高い日本ブランドのリストを掲載した。中国国営ラジオによると、中国中央テレビは、週末に2つのメイン・チャンネルでの日本製品の広告を停止した。

 16日、国営放送の中国中央テレビは、中国海軍東海艦隊が最近、東シナ海で大規模な実戦演習を実施したと報じた。詳しい訓練海域は不明だが、日本政府の尖閣諸島国有化で両国の緊張が高まる中、日本をけん制する狙いがあるとみられる。

 中国では、18日は大日本帝国の関東軍による満州事変の発端となった柳条湖事件(1931年)発生日から81年を迎える記念日となる。およそ100都市で大々的な反日デモが行われ、上海では約1万人、北京では約5千人がデモに参加したと伝えられている。抗議は今後も続くだろう。

 オバマ米政権は領土問題において特定の立場をとらないと強調している。しかし米国はアジアでの戦略的利益を擁護し、上昇する中国の軍事力と経済力に直面して、その同盟関係を強化するために非常に微妙な時期を迎えている。

 来日したパネッタ国防長官は日米防衛相会談での会見で、尖閣諸島に関し「日米安全保障条約に基づく義務を遂行するとの米政策は変わっていない」と述べ、条約の適用対象との従来の立場を説明。その上で「米国は、相対する主権に関する紛争にはどちらの肩も持たない。当事者が冷静に対応することだ」と、日中双方の歩み寄りを求めた。

 しかし、尖閣諸島に関する紛争が長びき拡大した場合、米国はどのように対処するかについては明言していない。



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