日本がボーイング787を大量購入した理由
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2013/01/22 11:00
「ドリームライナー(夢の飛行機)」と呼ばれるボーイング787型機の運航中止が内外の航空業界に波紋を広げている。
ボーイング787型機を17機保有する全日本空輸(ANA)は、国土交通省から運航停止指示を受けた17日から28日までの欠航(予定分も含む)が324便に上る見通しとなっている。欠航による影響はさらに拡大が予想される。事態を早期に収拾できなければ、世界最大の航空機メーカー、ボーイングの地位も揺らぎかねない。
ボーイング最大の危機
ボーイング787型機は重さが鉄の4分の1ながらも10倍の強度を持つ炭素繊維複合材料でできており、燃料を20%節約できる。ボーイングはこれまでに同型機50機を世界の航空各社に引き渡した。
ボーイング787型機は飛行動力以外の機体のシステムの大半が電気で作動する。電源のリチウムイオン電池は、操縦席の下の部分と機体後方に搭載されている。最近のトラブルはバッテリーで集中的に起きている。
米国デイトン大のラウル・オルドネツ教授はCNNテレビの取材に対し「ボーイング787型機はほかの航空機よりも電気で作動するシステムが多いため、バッテリーの欠陥は致命的だ」と指摘した。
ボーイング787型機は1機2億ドル(約179億円)とされる。ボーイングはこれまでに848機を受注した。今後は5000機の販売を計画している。
しかし、ボーイング787型機の発注が相次いでキャンセルされた場合、同社は大きな打撃を受けると予想される。同社株価は16日、3%安となるなど下落を続けている。
日本製部品の信頼も揺らぐ
2011年9月28日にボーイング787型機が世界で初めて全日空に引き渡されたことを、日本の企業やメディアはボーイング社同様に喜んだ。部品の35%が日本製という「準日本製」の旅客機だからだ。
問題となったリチウムイオン電池はジーエス・ユアサが生産。三菱重工業は主翼、富士重工業は中央翼、川崎重工業は前部胴体を納品。東レは炭素繊維複合材料、ブリヂストンはタイヤを供給している。
日本の航空各社は日本製部品に対する信頼に基づき、ボーイング787型機を大量に購入した。このため機体トラブルも全日空や日本航空に集中している。
ボーイングのライバル、エアバスは敵失による利益を期待している。ボーイング787型機は250席規模で、出発地と目的地を直接結ぶ「ポイント・トゥー・ポイント」の路線に適している。一方、エアバスを代表するA380型機は450-540席の超大型機で、一度に多くの乗客をハブ空港まで運ぶのに向いている。
エアバスのブレジエ最高経営責任者(CEO)は先ごろ、年内にボーイングを上回る700機の受注を目指す計画を発表している。
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