2013年5月16日木曜日

■【コラム】アベノミクスがうらやましいって?=韓国


【コラム】アベノミクスがうらやましいって?=韓国
http://japanese.joins.com/article/607/171607.html?servcode=100&sectcode=140
2013年05月15日09時08分 [ⓒ 中央日報]

 毅然とした対北朝鮮政策と訪米外交の成果で60%近くに上がった朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の国政遂行支持率(リアルメーター調査)は先週起きた尹昶重(ユン・チャンジュン)前報道官のセクハラ問題で一気に吹き飛んでいってしまった。外交的成就を基にこれから本格的に政策を展開しようとしていた構想も側近の不正を収拾するため後回しにされてしまった。朴大統領があれほど強調してきた「信頼」が、最も信頼できると考えた青瓦台(チョンワデ、大統領府)内部から崩れたのでどんな政策もやる気が湧かない。中では飼い犬に手を噛まれている間、信頼できない隣国日本からは円安空襲という直撃弾が飛び込んだ。沈んでいく日本経済を再生すると公言してきた安倍晋三首相の約束は1ドル=100円の突破で現実化されたのだ。韓国の輸出企業から悲鳴が続き、韓国の株価は暴落した。不動産対策と追加補正予算編成で下半期には経済が生き返るだろうという期待も一緒に薄れていく。これ以上の内憂外患はない。

  ◆日本経済回復の最後の必殺技

  相次ぐ侵略否定と極右の歩みで韓国では憎まれるだけ憎まれた安倍首相だが、日本では今月支持率が72%(読売新聞調査)と人気が急上昇している。安倍首相が日本経済を救う必殺技として持ち出したいわゆるアベノミクスのおかげだ。日本企業の輸出が活気を取り戻し株価と不動産価格が一度に上がっているのでそうなるだろう。いったいどれだけぶりに聞く経済回復のラッパの音なのか。円安で隣国が苦痛を受けようが受けまいが知ったことでではない。こうして日本経済が生き返りさえすれば何でもできないことはないという勢いだ。主要先進7カ国(G7)財務長官と中央銀行総裁はアベノミクスを「景気回復対策の一環」と規定し公式的な免罪符を与えた。世界経済がすべて沈滞に陥っているというのに日本経済だけでも生き返る方法があるならやってみろということだ。こうした状況で日本の人為的な円安が近隣窮乏化政策にすぎないという韓国の不満の声は受け入れられる余地はない。事実主要輸出品目が日本と重なる韓国を除くと日本の円安攻勢に打撃を受ける国はあまりない。国際社会で日本の円安攻勢を阻止するほどの同調勢力を探すのは難しいという話だ。

  アベノミクスは日本経済回復の目標をデフレ脱却と円高是正ととらえ、手段と方法を選ばずこの目標を達成するという政策だ。具体的な手段としては無制限の量的緩和を通じた通貨増発と大規模公共事業を通じた財政支出拡大、そして民間投資拡大と競争力向上を通じた成長を提示している。アベノミクスは結局日本が動員できる最後の極限措置であるわけだ。安倍政権は日本銀行総裁を入れ替えることすらしながら無限通貨増発に出て円を30%近く下げるのに成功した。そしてその効果がある程度現れているようなので日本国民がアベノミクスに熱狂しているのだ。ここに調子を合わせるように国際投資銀行も先を争って今年の日本の経済成長率見通しを上方修正し始めた。こうなると韓国からもアベノミクスにうらやましい視線を投げる人たちが現れている。韓国も何かアベノミクスに類似したものでもやってみるべきではないかということだ。

◆効果不透明で副作用の懸念

  しかしアベノミクスの成功の可否はまだ断定しにくい。むしろ長期的には副作用が大きいという指摘が多い。まず無制限の量的緩和を通じた通貨増発が円安効果による一部輸出大企業の好調のほかはこれといった内需拡大を引き出せずにいる。ゼロ金利でお金をいくら印刷しても金を借りるという人はなく、国内の投資と消費が増えないのだ。通貨増発の効果で株式市場と不動産市場が活況を迎えているだけだ。無制限の通貨増発という極端な浮揚策でも需要が回復しなければ、株式と不動産市場のバブルだけ育てるとの懸念も大きい。大規模土木事業と公共勤労を通じた財政拡大も景気浮揚効果は制限的で、政府の負債だけ育てる公算が大きい。すでに世界最高水準である日本の国の負債比率がさらに高まれば国の信用度が墜落し逆に金利が急騰するリスクが大きくなる。民間投資拡大と競争力強化というのも以前の政策と区別されていない上、全般的に景気が回復しなければ口先だけで終わるほかない。このように見れば日本のアベノミクスは韓国がまねられるものはあまりない。それよりはアベノミクスの失敗が呼び起こす副作用とリスクに備えなければならない点がもっと多く見える。

  実際に日本のアベノミクスがうらやましいのはその内容ではなく、「それでも何か成し遂げようとする目標とこれを達成するという意志」がうかがえるという点だ。アベノミクスにはデフレ脱出と円高是正という明確な目標があり、これを達成するための具体的な手段がある。それに比べて朴槿恵政権はあれこれ手を付けたが経済全体を合わせる明確な目標がない。雇用拡大と福祉拡充、経済民主化と企業投資促進、規制緩和と公正競争など互いに相反しかねない個別政策目標が散発的に混在している。まるでいくつかの風船を標的に浮かべて散弾銃を撃つようだ。適当に撃って当たればよく、当たらなければそれだけだ。これでは政策の効果も小さいだけでなく、それを推進する政府や見守る国民と企業が混乱する。確実な目標がなければ意欲がでるわけはなく、意欲がなければ経済が回復するはずがない。




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