2013年5月14日火曜日

■円安:韓国車のシェア低下、日本人客減少


円安:韓国車のシェア低下、日本人客減少
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/05/11/2013051100472.html
2013/05/11 09:43

 日産自動車は今月、米国市場でアルマダなど7車種の価格を最大で4400ドル(約44万7000円)引き下げた。自動車メーカー各社が年末の需要期などに一時的に値下げに踏み切ることは珍しくないが、定価そのものを引き下げるのは異例だ。

 韓国自動車業界は円安進行で厳しい状況に追い込まれている。世界最大の市場である米国で、現代・起亜自動車のシェアは、円安が本格化した昨年第4四半期(10-12月)から低下が目立つ。昨年第3四半期(7-9月)に9.1%だったシェアは第4四半期には8.3%に低下した。今年1-4月の販売台数も前年同期比2.0%減の40万2133台にとどまった。1-4月に米国市場で自動車メーカー上位10社のうち、販売台数が減少したのは現代・起亜自だけだった。

■自動車・機械業界、円安が直撃

 円安は長期不況の兆しが見え始めた韓国経済にとって最大の悪材料となっている。韓国経済は2008年の世界的な金融危機以降、輸出の伸びに頼って持ちこたえてきたが、円安で国産製品の価格競争力が大きく低下し、輸出への影響は避けられない状況だ。

 世界市場で日本企業と激しく競合する自動車、機械業種は、円安による直撃を受けている。韓国自動車産業研究所は、円が対ウォンで10%下落すれば、韓国の自動車輸出額が約12%減少すると予想した。2011年の韓国の自動車輸出額が453億ドルだったことから計算すると、年間で54億ドルの減少となる。

 産業研究院は円が対ウォンで1%下落すれば、当該年度の輸出が0.18%減少すると試算した。サムスン経済研究所はウォン・ドル相場が1ドル=1000ウォン、ウォン・円相場が100円=1000ウォンというウォン高・円安になれば、韓国の経済成長率が1.8ポイント低下し、経常黒字が125億ドル減少すると分析した。

■中小企業も苦境

 日本のソニー、住友などにIT(情報技術)素材を輸出する中小企業K社は、今年は赤字転落が避けられないと懸念している。同社の売上高に占める対日輸出の割合は30%を超える。対日輸出の利益率は昨年上半期まで10%台を維持していたが、今年は逆に20%のマイナスに転落した。

 京畿道安山市で室内用床材を生産する中小企業S社も円安で赤字拡大に苦しんでいる。年間売上高約100億ウォン(約9億1500万円)のうち、対日輸出は約30億ウォン(約2億7400万円)を占める。しかし、ウォン・円相場が1ドル=1200ウォンよりも円安方向に振れると、いくらコストを削減しても赤字だという。1個約500円で床材を輸出すると、昨年はウォン建てで約7000ウォンになったが、今は5500ウォンにしかならず、400ウォン(約37円)の赤字が出るという。

■ソウル都心から消えた日本人観光客

 ホテルや免税店も円安による影響を受けている。一時は日本人観光客であふれていたソウルの明洞、光化門一帯では、日本人の姿がほとんど消えた。韓国旅行業協会によると、今年2月に韓国を訪れた日本人観光客は前年同期比で35.4%減少した。協会関係者は「一部の旅行会社は日本営業所を閉鎖した」と話した。

 ホテル業界でも日本人客が急減した。プラザホテル、ロッテホテルなど日本人客が多いソウル市北半部の「特1級」クラスのホテルでは、日本人による客室予約率が前年同期を約30ポイントも下回った。ロッテ免税店、新羅免税店では4月の日本人客に対する売り上げが前年同期比で15-20%減少した。

■電子業界は善戦

 IT業種はまだ影響が小さい。先月のIT産業の輸出額は前年同期比17.5%増の141億3000万ドルで、輸入額は7.3%減の67億7000万ドルとなり、貿易黒字は73億ドルを超えた。4月のIT産業の輸出額と貿易黒字は年初来最高となり、輸出は8カ月連続で増加した。

 IT産業の好調は、スマートフォン(多機能携帯電話端末)、半導体の輸出が増えたためだ。IT産業が円安環境でも好業績を挙げているのは、日本のIT企業に比べ、価格競争力だけでなく、技術・品質面での競争力で優れているためだ。IT産業の善戦は、主力輸出産業が円安環境で生き残るためには、為替に左右されない競争力の確保が重要だということを示している。




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