2011年9月30日金曜日
■新しい旅のスタイルは「平日1日+休日1日」 JRC・観光振興セミナー(1)
新しい旅のスタイルは「平日1日+休日1日」 JRC・観光振興セミナー(1)
http://www.travelnews.co.jp/closeup/report/1109261149.html
(11/09/26)
リクルート旅行ディビジョン・じゃらんリサーチセンター(JRC、沢登次彦センター長)はこのほど、大阪市北区の梅田スカイビルで「観光振興セミナー2011」を開いた。
観光戦略の参考にしようと集まった自治体ら参加者に研究事例を紹介し"新しい視点"の観光振興を提言した。
時間を楽しませるスタイル 地域に提案
JRCは地域での観光開発を念頭に、研究・実験活動を展開。今回はまず、観光庁の旅行需要促進商品造成事業でもある、平日の旅行需要創出に向けたプロジェクトを紹介した。
ある調査では有休取得でしたいことの1位は「国内宿泊旅行」という結果がある。しかし昨今声高に叫ばれている"休暇改革"はなかなか進まず、旅行者は休暇を取れないのが実情だ。そこでこのプロジェクト。「休暇が取れない」旅行者と「平日に宿泊客を取り込みたい」宿泊施設双方のニーズをマッチさせて旅行需要の創出を狙おうという取り組みだ。
提唱するモデルが、土日で1泊2日の「定番」ではなく、例えば金曜に仕事の後にチェックイン、土曜日に遅めのチェックアウトと地域観光を楽しむ「平日1日+休日1日」のスタイル。
これなら土日曜が休みの人なら土曜は観光地で最大限に楽しめ、日曜は自宅で「ゆっくり」。金曜泊で宿泊料が割安、混雑回避などの利点も見込まれるほか、平日休みの人も比較的旅に出かけやすい。地域側にとっても平日在庫の有効稼働や地域内滞在時間の延長などメリットは多い。
しかし課題も多い。発表したJRC研究員の加藤史子さんは「旅行者、宿泊施設双方が定番以外の旅のスタイルに慣れていない」ことを課題に挙げる。その上で、販売面ではフラッシュマーケティングで割安感を与えて「まず体験」させ、宿泊施設では金曜泊の宿泊プランコンテストを実施し、おもてなしの工夫を結集させるという解決策を講じた。
コンテストで造成されたプランは実際に販売され、数分で完売するものも多かったという。
「朝から夜まで地域を満喫できる魅力を」
旅行者が地元の海産物を自分で焼くスタイルや、温泉街の飲食店と提携しての外食など初日の夕食に気を配ったものが人気。貸切風呂や掃除後の"一番風呂"、アウトレットへの無料送迎、館内のスパ・フィットネスといった朝・午前中の時間の使い方を提案するプランも好評だったそうだ。
利用者はプラン体験後のアンケートで「旅行の翌日が休みなどゆったり感」「仕事を休まなくていい」「時間の使い方が新鮮」を魅力に挙げた。「休みを取らずに料金がお得という点が印象的」という声も。
この結果も踏まえて、加藤さんは「平日1日+休日1日の旅」推進の1つのカギとして「地域を朝から夜まで満喫できる魅力を創出すること」を提言。朝一番と夜という「定番旅」では優先度の低かった時間を楽しませるプログラムを地域全体でつくりだし、宿泊施設は受入体制を整える。加藤さんは、そうすれば「休日1日あれば高満足度の旅ができる地域としてイメージが定着する」と話し、観光地での魅力的な時間の過ごし方の提案が大事だと強調した。
セミナーではそのほか、携帯電話のオートGPSで読み取った人の動きから観光地の周遊・滞在時間を分析し観光戦略に生かそうという研究も紹介。今年度の宿泊旅行調査や外国人満足度調査の分析なども解説した。
セミナーはJRCの研究発表や情報提供の場と位置付けたもので、今年で6回目。全国8都市で開催し、大阪会場には自治体の観光担当者ら約140人が参加した。
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