2011年9月29日木曜日

■「なぜヒトは旅をするのか」人気の旅行企業はこうして生まれた


「なぜヒトは旅をするのか」人気の旅行企業はこうして生まれた
http://news.infoseek.co.jp/article/kmonos_2011_09_c021
2011年9月28日15時25分 kmonos

なぜヒトは旅をするのか?

この哲学的な疑問に「人類だけにそなわった冒険心によるものだ」というのは、ニホンサルの研究で著名な動物行動学者の榎本知郎氏(化学同人DOJIN選書)。

同書によると旅をするのは「ヒト」だけだといいます。渡り鳥やサケなどの回遊魚は何千キロと移動します。しかし、それはあくまで「生活圏内」での移動に過ぎないといいます。
ニホンザルは、後尾期になるとオスがそれまでの生活圏を出て、新しい群れに行き、そこに居つきます。チンパンジーではメスがよその集団に移籍します。しかし、いずれも元には戻りません。
ヒトは自分の生活圏を出てよその生活圏に行き、そこの集団と交流し、再び元の生活圏に戻ることができます。これが「旅」であると著者は規定します。

では、なぜ旅はヒトだけに可能なのか。ヒトはナワバリを持たないから、見知らぬ人が自分たちの生活圏に入ってきても、直ちに排除することはしない。それどころか、食料や宿を提供する。それを「許容」といい、旅を成り立たせる必須条件であるといいます。

江戸時代から「旅」は人生の一大事だった
日本人にとっての旅は明治維新の文明開化以前から「旅」は庶民の間に根付いていました。それは「お伊勢参り」に見ることができます。集団で伊勢神宮へ参詣する旅で、最大の特徴は、奉公人などが主人に無断で、または子供が親に無断で参詣したこともあるようです。「お蔭参り」「抜け参り」などとも呼ばれ、大金を持たなくても信心の旅ということで沿道の施しをうけることができたといいます。

当時、庶民の移動、特に農民の移動には厳しい制限がありましたが、伊勢神宮参詣に関してはほとんどが許される風潮でした。
また、当時の庶民にとって、伊勢までの旅費は相当な負担で日常生活ではそれだけの大金を用意するのは困難。そこで生み出されたのが「お伊勢講」という仕組み。
「講」の所属者は定期的に集まってお金を出し合い、それらを合計して代表者の旅費とするもので、代表者は、くじ引きで選ばれたということです。
修学旅行や、社内旅行、町内会の旅行など現在まで続く日本人の「集団旅行好き」の理由や、温泉とか、おみやげ、各地の名産品、駅弁などの源がこのあたりにありそうです。

就職人気ランキングでも上位に
学生の就職人気度ランキングでもJTBをはじめとして旅行代理店が毎年、上位に来ています。また、景気の動向を見る上でも、近年、旅行は重要な産業となっています。


国内旅行の2009年度の売上高ランキング

1位:JTB(25.4%)
2位:近畿日本ツーリスト(7.1%)
3位:日本旅行(6.7%)
4位:ANAセールス(5.1%)
  5位:阪急交通社(3.8%)

海外旅行の2009年度の売上高ランキング

1位:JTB(22.3%)
2位:エイチ・アイ・エス(13.4%)
3位:阪急交通社(11.2%)
4位:近畿日本ツーリスト(6.3%)
5位:日本旅行(5.3%)

2011年度からはこれまで取扱高の詳細を開示して来なかった旅行予約サイト最大手の楽天トラベルが国内旅行のデータの公表を開始し、上位につけています。

2011年は、東日本大震災後、海外旅行に比べ国内旅行は需要が落ち込んでいましたが、ここへきて需要が回復してきたといいます。JTBの国内旅行は7~8月、前年比2%減程度。近畿日本ツーリストも9割超まで回復してしてきたといいます。

真の開国はいつ?
一方、訪日外国人を増やすための方策についても政府は「2016年に年間2000万人に」という目標を掲げています。(2010年は861万人でした)。その経済的な波及効果は約10兆円で2006年度の3倍超に膨らむということです。
ただ、日本はまだ、諸外国に比較して外国人が暮らすにはさまざまな障壁が多いようです。年間2000万人という目標はドイツ、メキシコ、マレーシアなどが達成しており、観光資源が多い「日本はもっと開かれてもいい」という意見もあります。
原発事故で避けられる日本から脱皮するために、真の開国政策が求められています。


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