2011年9月24日土曜日

■インバウンド 8月の外客数、32%減の約55万人
http://www.kankokeizai.com/backnumber/11/backnumber/inbound.html
第2626号《2011年9月24日(土)発行》     

 8月の訪日外客数は、前年同月比31.9%減の54万6800人だった。日本政府観光局(JNTO)が15日に推計値として発表した。原発事故の影響が収束しないことへの懸念に加え、一部の市場では円高がマイナス要因になった。前年同月比の減少率では台湾が1割台にまで回復したのに対し、外客数構成比の1、2位の韓国、中国が依然として4割台だった。また、九州へのクルーズ船の寄港が再開されるなど、被災地以外の地域では回復の兆しが見え始めている。

 前年同月の実績に対する減少率は、震災発生以降で4月が62.5%、5月が50.4%、6月と7月が36.1%で少しずつ縮小している。1〜8月累計では前年同期比33.0%減の394万1200人。

 8月を市場別にみると、韓国は40.5%減の14万7千人。6月以降は40%台の減少が続いている。JNTOは、食品から放射性物質が検出された問題が韓国でも報道されるなど、「原発事故で安全、安心に対する懸念が続く中、食に対する不安が払しょくされていない」と指摘。また、韓国の旅行会社では、需要を喚起するため、前月に引き続き、九州、関西、北陸などへの旅行商品を通常の半額程度の料金で販売しているという。

 中国は40.1%減の10万2800人。3月から40%台の減少が続いている。子どもへの放射能の影響を不安視する親が多く、家族旅行などが敬遠された。一方で8月にはクルーズ船「レジェンド・オブ・ザ・シーズ」が香港、釜山、天津に加え、長崎、博多に寄港したのを皮切りに、クルーズ船の九州への寄港が再開された。

 台湾は12.6%減の9万9100人。原発事故への不安は払しょくしきれていないが、4月の67.4%減を底に着実に回復。「北海道、大阪、福岡への8月の旅行実績は前年比8割から前年並みにまで回復がみられる。沖縄向けの商品の売れ行きも好調」(JNTO)。

 香港は25.5%減の3万8400人。7月には41.2%減だったが、減少幅は縮小した。一方で香港ドルに対する円高が進み、低価格で販売された訪日団体ツアー商品がほぼ前年同期と同じ価格になったという。

 円高は米ドルはもとより、ユーロ、豪ドル、カナダドルに対しても強まり、震災や原発事故に加えて、訪日観光に不利にはたらいている。8月は米国が15.6%減の4万6800人、フランスが44.6%減の8千人、豪州が40.9%減の7600人だった。
8月の出国過去最高か
 8月の出国日本人数は、円高などで海外旅行需要が喚起され、前年同月比9.1%増の179万2千人だった。今回の発表は推計値だが、01年8月の179万1166人を上回った。単月では過去最高となる可能性がある。


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