■高知・室戸 吉報に歓喜‥ジオパーク認証
http://mytown.asahi.com/kochi/news.php?k_id=40000001109200005
2011年09月19日
室戸地域が四国で初めて世界ジオパークに認証された18日未明、ノルウェーでの会議の様子がインターネットで中継された室戸市役所では、市民ら約200人が歓声を上げた。認証を観光や地域振興に生かすには課題も多く、関係者は「これがスタートライン」と表情を引き締めた。
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午前3時ごろから室戸市役所2階の会議室に市民らが集まり始め、1時間後には約200人で埋まった。
ノルウェーには小松幹侍市長、室戸ジオパーク推進協議会スタッフの計5人が派遣され、現地で発表を待った。午前4時15分、インターネット中継で現地のスタッフが「室戸が世界ジオパークに認証されました」と報告すると、会議室は拍手と歓声に包まれた。くす玉が割られ、室戸海洋深層水で乾杯した。
祈るように吉報を待っていた地元のホテル従業員渡辺優さん(24)は「うれしいの一言。感動で震えた」とバンザイを繰り返した。渡辺さんは埼玉県出身で、昨年11月に知人がいない室戸に転勤。今年1月、同協議会が開いた「ジオパークマスター講座」を受講したのをきっかけに、この土地がどんどん好きになったという。「都会にはない人のつながりがあって、すっかり巻き込まれました」。そう話すと、笑顔で仲間の歓喜の輪に加わった。
2008年の同協議会設立時から、地質学の専門家としてアドバイザーを務めてきた高知大の吉倉紳一副学長(61)も、感慨深げだった。「7月の現地審査で良い評価をもらっていたので、認証されると確信はしていたが、落ち着かなかった。これがゴールではな
くスタートです」と表情を引き締めた。
小松市長は現地からの中継で「3年間、多くの方の協力をいただいた。市民の熱い思いが審査員に伝わったと思う」と関係者に感謝し、「早く帰って喜び合いたい」と満面の笑みで呼びかけた。
その後、室戸市観光協会が室戸岬で祝賀イベントを開催。日の出に合わせ、午前5時50分から祝砲がわりの花火を15発打ち上げた。
尾崎正直知事も県庁で会見し、「本当にうれしい。地元の関係者や市民、学識経験者が心を一つにして取り組んだ成果」と喜んだ。
室戸ジオパークは県の産業振興計画地域アクションプランでも観光拠点として位置づけており、尾崎知事は「近畿から徳島、高知への東回りの観光ルートづくりに努め、関連施設の整備も考えたい。国内やアジア各地のジオパークとネットワーク化し、国際、文化、観光の交流につなげたい」と述べた。
◇先行の山陰海岸は観光客増えず・・・
世界ジオパークの認証を、地域振興にどう結びつけるか――。室戸市観光協会の島田信雄会長(68)は2月、昨年に世界認証された山陰海岸を視察したが、足を運ぶ観光客数はほとんど増えていなかった。山陰海岸の観光施設の職員からは「誰かが観光客を引っ張ってきてくれるわけではない。自分たちで世界認証をネタにして動くしかない」という声を多く聞いたという。
室戸市では同市吉良川町のキラメッセ室戸・鯨館など民間の観光施設が独自に記念グッズを作ったり、地質の見どころと飲食店を巡るウオークラリーを構想したりしている。今月下旬には、観光客向けの拠点施設「室戸ジオパークビジターセンター」が鯨館内に完成する。入場無料で、常駐スタッフが見どころなどを解説する。
だが、「ジオパーク」という言葉の認知度も低い。室戸岬を家族4人で訪れた高松市の香川友美さん(30)は「ジオパークって何ですか? 初めて聞きます」。神戸市から家族4人で来た上原政広さん(45)は「何でもかんでも認証して、観光地にすればいいわけじゃない。今のままの美しさを保って欲しい」と話した。
一方、南国市から友人6人で来た山岡理美さん(50)は「高知の自慢が一つ増えた。しっかりPRして、もっとジオパークの意味もわかりやすく広げて欲しい」と話した。
●世界ジオパークとは
「ジオ」は地球や大地を意味する言葉。ユネスコが支援する世界ジオパークネットワーク(事務局・パリ)が、地球の活動や歴史が分かる貴重な地形や地層が観察できる27カ国の87地域を認証している。国内では洞爺湖有珠山(北海道)▽糸魚川(新潟県)▽島原半島(長崎県)▽山陰海岸(京都府、兵庫県、鳥取県)▽室戸の5地域。
■室戸市も認定された 「世界ジオパーク」とは何だ
http://www.j-cast.com/2011/09/18107614.html?p=all
2011/9/18 15:11
高知県室戸市が、「世界ジオパーク」に認定された。世界ジオパークは、地球の成り立ちを知るうえで貴重な地形や地質があり、教育や観光への活用が期待される地域を、ユネスコの支援で設立された国際組織「世界ジオパークネットワーク」(事務局・パリ)が認定しているもの。
新たな地域を認定する国際会議がノルウェーで開かれ、日本時間の2011年9月18日朝4時過ぎに認定された。
「大地形成のダイナミズムが実感できる」
そもそも、ジオパークとは地球活動によってできた重要で貴重な、あるいは美しい地質遺産がみられる自然公園という。ジオパークではそういった地質遺産や考古学、生態系、文化的な価値を保全し、地球科学の普及への利用と観光利用を通じて地域社会の活性化を目指している。「世界ジオパーク」は64の地域が認定されている(2010年3月末時点)。
高知県の東部の室戸半島にある「室戸ジオパーク」は、室戸市のほぼ全域を範囲とする。室戸市は、「かつての巨大地震の隆起によって形成された海成段丘や海岸地形などを見ることができ、大地形成のダイナミズムが実感できるはず」(ジオパーク推進課)と話す。また、日本最大崩落地の一つである「加奈木崩れ」などの地質遺産の価値はきわめて高いという。
温暖な気候で、四国八十八か所の巡礼地、日本最大級のレンズをもつ室戸岬灯台、かつての捕鯨などの伝統文化やホエールウォッチング、イルカによるセラピーが体験できる観光地でもある。最近は海洋深層水を中心とした産業でも話題だ。
世界ジオパークの認定に、室戸市は早朝から喜びに沸いている。「学術的に貴重な地形や地質、そこに生息する亜熱帯植物と海洋植物群落や魚介類などが、わたしたちの住む地域の成り立ちや生活に大きく関わってきました。そのことをわかりやすく伝えていきたいですし、多くの人に興味をもってもらうことで、国内外の交流の拡大につなげていきたい」(ジオパーク推進課)と、今後の経済効果にも期待している。
「洞爺湖有珠山」、「島原半島」など国内では5か所目
室戸市は、2010年末に世界ジオパークの認定を申請。今年7月に「世界ジオパークネットワーク」が現地視察を行い、9月18日の「認定」とつながったが、道のりは平坦ではなかった。「日本ジオパーク委員会による(世界ジオパークへの)国内審査がなかなか通らず、そこまで2年かかりました」と振り返る。
日本ジオパークは、現在20か所。アポイ岳(北海道)や南アルプス(中央構造線エリア)、恐竜渓谷ふくい勝山、隠岐、阿蘇、天草御所浦、霧島、伊豆大島などが認定されていて、いずれも自然豊かで地質学的にも貴重な地域だ。
このうち、1945年に誕生した昭和新山や活火山の有珠山を擁する「洞爺湖有珠山」や、1990年に噴火した雲仙・普賢岳などの「島原半島」、フォッサマグナの「糸魚川」、リアス式海岸に砂丘などの多彩な海岸地形を織り成す「山陰海岸」の4か所が「世界ジオパーク」の認定を受けている。
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