2011年9月22日木曜日

■好調に陰り…中国の百貨店業界に迫る淘汰の波

好調に陰り…中国の百貨店業界に迫る淘汰の波
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110922/chn11092208140001-n1.htm
2011.9.22 08:12
 
 経済成長を追い風に好調だった中国の百貨店業界に陰りが見え始めた。賃料や人件費の高騰、消費形態の多様化などを背景に、従来型の百貨店に淘汰(とうた)の波が迫りつつあるようだ。
 
 台湾系閉店の衝撃
 
 9月初めには北京市で店舗を運営する太平洋百貨の年内閉店が明らかになった。この台湾系大手百貨店の閉店ニュースは「北京の百貨店業界で近年起きた最も大きな事件の一つ」(中国紙・21世紀経済報道)と地元紙各紙が取り上げるなど、注目された。
 太平洋百貨は、台湾のコングロマリットである遠東グループの傘下で百貨店事業を手掛ける太平洋崇光百貨集団が合弁で運営する百貨店チェーンだ。1990年代初めに中国進出して以降、北京や上海、大連、成都などの主要都市を中心に店舗網を拡張。現時点で10店舗以上を運営する規模になっている。
 閉店が決まったのは太平洋百貨が北京市内で運営する「北京盈科店」(売り場面積3万7800平方メートル)と「北京五●松店」(同2万8000平方メートル)の2店舗。太平洋百貨は両店舗の閉店に伴い、北京市から撤退することになる。
 地元メディアの報道によると、太平洋百貨が発表した閉店の理由は「売り場企画の不振や商業エリアの変化、貸主の大幅な賃上げ要求」だ。もっとも、太平洋百貨の店舗縮小は個別のケースではなく、中国における目下の百貨店業全体に共通した問題との見方が多い。
 21世紀経済報道は太平洋百貨の閉店を報じた記事の中で、現在の中国の百貨店業界が直面する問題として「賃料の上昇」「人件費の高騰」「消費形態の変化」を挙げる。
 百貨店の賃貸契約の契約期間は通常10~15年間前後。一方、今から約10年前は中国の百貨店業の発展初期に当たり、百貨店は低い賃料で店舗を確保できた。この時期に結ばれた賃借契約が足元で期限を迎える中、これまで低水準に抑えられていた賃料が契約更新時に大幅に引き上げられ、百貨店の収益を圧迫する要因になっている。
 加えて最近の人件費高騰や物価高に伴う商品調達コストの上昇も、百貨店に重くのしかかる。こうしたコスト増を背景に、太平洋百貨のケースでは「北京エリアでの赤字額が2009年度から今年第1四半期(1~3月期)までの期間で累計7000万元(約8億3790億円)超に達した」(中国紙・第一財経日報)という。
 
 複合機能なき弱点
 
 さらにはeコマース(電子商取引)の台頭など消費形態の変化も新たな脅威となっている。中国でも大型の総合商業施設の登場に伴い、消費、飲食、娯楽が一体化された消費モデルを選好する傾向が強まっており、ショッピングという単一機能しか持たない従来型の百貨店は集客力を失いつつある。
 第一財経日報は、マレーシア系の大手百貨店で中国国内に40店舗以上を展開する百盛百貨(パークソン)が、上海市内の1店舗を近く閉店する見通しと報じた。理由は太平洋百貨と同じく「賃料の上昇」。経営環境に逆風が吹き始めつつある中、百貨店淘汰の動きが静かに広がりつつあるようだ。(上海支局) ●=木へんに果
 
 
 
 

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