■挙式減に苦慮のラスベガス 不況響き、既婚夫婦などに活路
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/110725/mcb1107250504017-n1.htm
2011.7.25 05:00
.
他の教会で結婚式が減少するなか、「再宣誓式」が増加しているという「リトル・ホワイト・ウエディング・チャペル」=米ネバダ州ラスベガス(ZUMAPress/Newscom)【拡大】
幸せいっぱいで米ラスベガス(ネバダ州)を訪れる観光客におなじみの即席結婚式が、過去数十年で最悪のリセッション(景気後退)の後遺症に苦しんでいる。
ラスベガスでは最近、お決まりのエルビス・プレスリーのセレナーデが流れる中、愛を誓うカップルが減少している。経済状況が厳しいため結婚を延期するか、式を行わないカップルが増えているためだ。
ラスベガスを擁する同州クラーク郡のダイアナ・アルバ書記官は電話インタビューで「安定した仕事に就いていなければ『結婚して新しい家族を作ろう』とは言いづらい」と語る。アルバ氏の事務所はラスベガスで結婚式を挙げたカップルに結婚許可証を発行している。
同氏によると、結婚式の減少を受け、ラスベガスに60カ所以上あるチャペルの中には、誓いを新たにしようとする既婚夫婦やネバダ州では合法的に結婚できない同性愛者のカップルの誓約式に重点を置くところも出てきた。同州では結婚許可証の発行代金として60ドル(約4700円)を徴収しており、結婚式の減少は同郡の収入の落ち込みにもつながるという。
同郡のウェブサイトによれば、郡内での結婚許可証の発行数は2004年に12万8250通だったが、昨年には9万1890通と、6年間で28%減少した。
米国では進学や昇進を優先したり同棲(どうせい)を選ぶカップルが増加、結婚全般が縮小傾向にある。昨年結婚した成人は54.1%と、00年の57.3%から減少(米国勢調査局)。初婚年齢の中央値は09年、男性が28歳、女性が26歳で1950年のそれぞれ23歳、20歳に比べ上昇している。
ラスベガスにあるリトル・ホワイト・ウエディング・チャペルのオーナー、シャルロッテ・リチャーズ氏は、結婚後に再び愛を誓う「バウ・リニューアル(再宣誓式)」の過去数年の増加に気づいた1人だ。再宣誓式は今や同氏の顧客の約3分の1を占める。景気こそが夫婦の絆を強めていると指摘した。
「家と職を失っても、お互いを失ったわけではない。結婚許可証の発行数が減ったからといって愛は減っていない」と語った。同氏は87年に米映画俳優のブルース・ウィリスさんと女優のデミ・ムーアさんの結婚式を担当。ドライブスルーのチャペルも提供している。
ラスベガスで貸衣装業を営むダイアン・シラー氏は、収益が2年前に比べ15%減り、150ドル台の低価格商品を増やした。再宣誓式需要は旺盛だという。
再宣誓式人気を受け、アルバ氏によると、クラーク郡は再宣誓する既婚夫婦向けに記念の証明書を発行することも検討している。ラスベガスを含め同郡には90カ所以上の結婚式用チャペルがある。「代金を例えば45ドルに設定して年間1000組に記念の証明書を発行すれば、これまで得られていなかった収入につながる」と話す。事務所には毎週、手続きに関する問い合わせの電話が数件かかってくる。
アルバ氏は「とりわけ海外からの観光客に市場がある。政府機関を訪れ、公印とともに『ネバダ州クラーク郡ラスベガス』と記載された証明書を取得したいと望む人々だ」と述べた。ラスベガス観光局によれば、昨年の観光客数は約3730万人と、ピーク時の2007年の3920万人から減少している。
チャペル運営会社、ベガス・ウェディングスのクリフ・エヴァーツ創業者兼最高経営責任者(CEO)は証明書発行に賛成だ。ラスベガスの年間観光客の78%が既婚者のため、結婚式から再宣誓式に軸足を移すべきだと主張する。再宣誓式関連は同氏の事業の5~10%を占める。
ラスベガスは「世界のウェディングの都」と呼ばれているが、同CEOは「今度は“世界のバウ・リニューアルの都”として生まれ変わる絶好のチャンスだ」と語った。(ブルームバーグ Alison Vekshin)
0 件のコメント:
コメントを投稿