2011年9月25日日曜日

■四国の地域ブランド、実りの時期に 産官学連携で加速

四国の地域ブランド、実りの時期に 産官学連携で加速
http://www.nikkei.com/news/local/article/g=96958A9C93819890E0E0E2E1948DE0E0E2EBE0E2E3E39E93E2E2E2E2;n=9694E3E4E3E0E0E2E2EBE0E0E4EB
2011/9/23 6: 日経Web

 四国4県で産官学の連携による「地域ブランド」の開拓が加速している。企業と地元の研究機関が共同で開発した技術や素材を活用して、健康面などで機能性の高さを打ち出したり、素材から加工までを地域内で手がける「純地域産」をうたい文句にしたりするのが特徴。消費者の目線を意識しながら、廃れつつある地域の伝統産業の再興につなげようとする試みも始まっている。

 消費者の健康志向を背景に、「機能性」をキーワードとする産官学連携が増えている。香川県では、県や香川大学、でんぷん加工メーカーの松谷化学工業(兵庫県伊丹市)が共同で開発し、量産化にメドがついた希少糖「D―プシコース」を使った食品が店頭に並び始めた。通常の砂糖に比べて血糖値の上昇抑制効果が高いことが特長だ。

■夏まき小麦開発

 宝食品(香川県小豆島町、片山俊朗社長)は8月から、「D―プシコース」を使用した「おりーぶゼリー」と「しょうゆゼリー」の2種類のゼリーの販売を開始した。それぞれ小豆島特産であるオリーブ果実やしょうゆを使っている。

 スイーツ店の「コンディトライ&レスト シカ」(香川県高松市、細川修吾社長)でも、オレンジケーキなどに新糖を使っている。今後はコーヒーゼリーなど対象商品を増やす。「(D―プシコースを)使っている商品についての問い合わせも増えている」(細川社長)という。

 香川県では、砂糖、塩、木綿が「讃岐3白」と呼ばれる伝統産業だったが、いまは安価品などに押されてほとんど残っていない。県や松谷化学はD―プシコースを「第4の“白”」として新しい県産品に育てる方針だ。

 高知県では、高知大学農学部の石川勝美教授が夏に種をまき、冬に収穫する「夏まき小麦」を20年がかりで開発した。2009年10月に「ふゆのめぐみ」の名称で商標登録し、現在は「宮高1号」として品種登録を申請中だ。
 通常の小麦は秋冬に種をまき、夏秋にかけて収穫するが、夏まき小麦は9月上旬に種をまき、12月~翌1月ごろまでに収穫できる。パンに適したコシの強さがあり、高タンパクに加えて、ポリフェノールも通常の小麦の2.5~3倍と豊富だ。
 農事組合法人、源水エコファーム(四万十町、高橋一雄代表)は四万十町の畑で夏まき小麦を栽培、うどんなどの商品化に取り組む。夏まき小麦を使用したうどんは「粘りとコシ、風味がある」(高橋代表)といい、来年8月にグループ会社のうどん店「土佐うどん源水」で発売する。今後さらに生産量を増やし、パン用の小麦の商品化も計画している。


■原材料から生産

 徳島県では、四国大学(徳島市)と、みそ製造のヤマク食品(藍住町)が、県の山間部に自生する「阿波番茶」入りのわらびもちを共同開発し、販売している。阿波番茶には血糖値やコレステロールを下げる作用のほか、体内の活性酸素の発生を抑える総抗酸化力が緑茶の1.6倍にあることも大学の研究で分かった。徳島県は阿波番茶のブランド化に力を入れており、イベントなどで試飲を行っている。
 完成品だけではなく、原材料もご当地で生産する純粋な「地域ブランド」を育成する取り組みもある。

 愛媛県今治市では、綿花栽培から手掛けた野菜染めのタオル地マフラー開発の計画が進んでいる。今治市とJAおちいまばり、愛媛大学今治サテライトオフィス、地元染料メーカーなどが参加。今年度中には製品化し、JAおちいまばりが運営する産直市「さいさいきて屋」(今治市)などで発売する計画だ。
 さいさいきて屋近くの農地26アールで綿花を育てており、10月から収穫する予定。約40キロの綿の収穫を見込んでおり、これを紡績し、絹糸との混紡でタオル生地を織る。それに今治産の野菜や果実の色素で染色しタオルマフラーに加工する。「純今治産を打ち出し、1本1万円程度の高級品として売る」(さいさいきて屋)としている。


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