2012年11月29日木曜日

■日本の観光業に大打撃-10月の中国人旅行者は33%減


日本の観光業に大打撃-10月の中国人旅行者は33%減
http://jp.wsj.com/Japan/Economy/node_555737?mod=WSJFeatures
2012年 11月 29日  9:47 JST

 【東京】つい最近まで東京の高級ブティックに押し寄せていた中国人観光客がほとんど姿を消してしまった。銀座の街に並んでいた豪華な観光バスは車庫に止まったままで、百貨店は中国語を話すスタッフを削減している。

 尖閣諸島(中国名:釣魚島)をめぐる日中の領有権争いは、自動車から衣料品に至るまで日本の経済界に大きな影を落としている。その中で最も影響を受けているのはおそらく観光業だろう。政府の成長戦略の柱の1つだった訪日中国人拡大による観光振興キャンペーンは大きく後退した。

 中国資本の傘下にある家電量販店ラオックスの銀座店の店員は「閑散になってしまった。尖閣問題が起きる前には、中国人観光客向けに高級炊飯器が1日に30~40台売れていた。今では、それが2、3台だ」と語る。

 日本政府観光局(JNTO)の発表によると、10月の訪日中国人は7万1000人と、前年同月比33.1%の激減に見舞われた。日本政府が2年前に、中国人の観光ビザの発給制限を緩和するなど日本の官民一体の努力で、近年日本を訪れる中国人観光客は急増を続けていた。

 2009年には中国人の訪日は台湾を抜き、韓国に次ぐ第2位となり、昨年は104万人に達した。しかし、尖閣問題を受けて急減、日本航空は27日、10月の日本・中国便の旅客数は前年同月比33%減の6万8311人に急減したと発表した。全日空も同様だ。

 ホテル業界は、大量のキャンセルに見舞われている。特に、富士山など名所旧跡周辺にある観光ホテルや東京中心部の高級ホテルは大きな打撃を受けている。当局者によれば、状況が改善される兆候はほとんどないという。

 海外からの旅行者数で世界第30位の日本にとって、観光業は重要な成長産業だ。政府は2008年に国土交通省の外局として観光庁を設立し、観光振興を図ってきた。政府は、訪日外国人旅行者を10年の860万人から19年には2500万人に拡大することを目標としている。

 中国人観光客の落ち込みは、小売業界にも多大な影響を及ぼす。観光庁によれば、今年4~6月の中国人観光客一人当たりの平均買い物額は17万6360円で、最もカネを落としてくれていた。

 松坂屋銀座店内の家電量販店ラオックス銀座店では、中国語の出来る販売アシスタントが最近半減され8人になったという。バス会社も、急減した中国人観光客の穴埋めに四苦八苦している。チャーターバス大手の総合ワールドトラベルでは、10月には中国人観光客のキャンセル率が70%に達した。このため、中国に代えて東南アジアの旅行会社へのセールスに力を入れている。同社は「中国人の観光客数はいつかは元に戻ると思うが、それがいつになるのかは分からない」と語る。

記者: Chester Dawson



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