2012年11月27日火曜日

■高齢者福祉を重視する日本、「シルバー民主主義」の危機


高齢者福祉を重視する日本、「シルバー民主主義」の危機
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/11/27/2012112701042.html?ent_rank_news
2012/11/27 11:15 

有権者全体に占める60歳以上と20-30代の比率が30年間で逆転
年金・社会保障などをめぐり世代間の不平等が深刻化

 「日本の政治にとって最大の危機は『シルバー民主主義』だ」

 日本では最近、政治が国民全体ではなく「シルバー世代」の利益を代弁している、と批判する声が高まっている。60歳以上のシルバー世代が有権者全体に占める割合が、1980年の19%(1538万人)から、2010年には38%(3953万人)まで増加する中、政界はシルバー世代の目ばかりを気にしているというわけだ。年齢が高まるほど、投票にも積極的になる。投票者全体に占めるシルバー世代の割合は、1980年には19%だったが、2010年には45%まで上昇した。

 一方、20-30代の人たちが有権者全体に占める割合は、1980年の45%(3641万人)から、2010年には30%(3120万人)に低下した。その上、若い人ほど投票に消極的になる。投票者全体に占める20-30代の割合は、30年前には42%だったが、最近は22%と、約半分になった。このような状況の中、人口が多く投票率も高いシルバー世代が政権の動向を左右し、日本を「高齢者のための国」に変貌させている、と指摘する声が出ている。

 政界がシルバー世代の票を意識する中で表面化した現象が、年金や社会保障費をめぐる世代間の不公平だ。内閣府経済社会総合研究所が行った、世代別の年金の生涯収支(受け取れる額から支払った額を差し引いた額)に関する報告書によると、27歳の若者が一生涯に負担する国民年金の保険料は平均1978万円だが、将来受け取れる年金は平均1265万円で、713万円もの損害を被ることになる。一方、62歳のシルバー世代は一生涯に保険料として1436万円を支払い、1938万円を受け取ることになる。支払った額に比べ502万円も得をするというわけだ。

 明治大の小林庸平教授の研究によると、地方自治体の高齢化率(65歳以上の高齢者人口が総人口に占める割合)が1%増加するごとに、小学生1人当たりの年間の補助金は2000円ほど減少するという。地方自治体の首長が票を意識し、高齢者の福祉施設に対する投資を増やす一方、学校に対する補助金を減らしているためだ。2010年、日本の有権者の平均年齢は56歳だったが、20年後には60歳を超えると予想されており、シルバー世代偏重政策は今後も続くとの見方が出ている。

 来月16日に行われる衆議院議員総選挙で、第3党になる可能性が高い「日本維新の会」は、若い世代の支持を拡大するため、福祉制度をめぐる世代間の公平性確保を公約に掲げた。現役世代が支払った税金や年金保険料を、シルバー世代の年金に充てるという現在のシステムから脱却し、自分が支払った保険料の分だけ年金を受け取れるようにするという政策を打ち出した。また、特別相続税制度を設け、年金の財源として活用するという案も示した。日本では50-60代の人たちが親の遺産を相続するケースが大部分を占めるため、この案はシルバー世代にとっては不利になる。

 一方、自民党はシルバー世代の票を意識している。財源の不足を理由に、主に若年層にとってメリットになる、民主党政権下の「子ども手当」制度を廃止に追い込んだ。その代わり、国債を発行して、高速道路建設などの公共事業に200兆円を投資するという公約を掲げた。高齢者が多く住む地方のインフラに対する投資を増やそうというわけだ。

 シルバー世代の政治的な影響力が高まる中、世代間の格差の是正のため、選挙権を現在の20歳以上から、18歳以上に引き下げるという案も検討されている。日本経済新聞は26日「世代間の格差を解消するため、子どもを持つ若い世代に2票ずつ投票を認める案などが浮上している」と報じた。だが、シルバー世代は「国民の義務である選挙権もきちんと行使しない世代に特権を与えることはできない」と反発しており、実現する可能性はほとんどないのが実情だ。




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