2012年11月27日火曜日

■香港で大気汚染が一段と深刻化-連日のように外出自粛勧告


香港で大気汚染が一段と深刻化-連日のように外出自粛勧告
http://jp.wsj.com/World/China/node_554539?mod=Right_pickfree
2012年 11月 27日  10:43 JST WSJ

 【香港】香港では、狭い通りで渋滞する古いトラックやバスの排気ガスによる大気汚染が深刻化している。香港は金融センターとして多くのプロフェッショナルを集めているが、有名な香港港はスモッグで常にかすんでいる。

 香港環境保護局が1988年に統計を取り始めた沿道の大気汚染度は、10月に最悪となった。同月の31日間のうち25日について、香港政府は子供や老人、病弱な人に対し外出を控えるよう勧告した。11月には、26日までに15日について外出自粛勧告が出された。

 2年前に妻と2人の息子とともに香港に移住した米国人起業家のアンドリュー・レイデン氏は、「月に何日も窓を開けない」と指摘、「天気予報よりも大気汚染報告をチェックする方が多い」と語る。大気汚染がひどい日には、長男にはサッカーの練習を休ませ、繁華街に行かせないようにしているという。

 専門家によると、排ガスの元凶は地元の交通機関。香港には中国本土から港にコンテナーを積載した多くのトラックが入ってくるが、排ガスをまき散らしているのはほとんどが地元のトラックや2階建てバスだ。香港政府によれば、沿道の大気汚染源の80%は中古のディーゼルエンジンの商用車という。

 社会運動家は、香港政府は他の都市のように大気汚染防止に積極的に取り組んでいないと批判する。香港の行政監査局は最近発表した報告書で、香港政府が1987年に大気汚染防止目標を導入して以降、これまで目標を達成したことがないことを明らかにした。

 香港政府は、火力発電所に排煙規制を強化したことにより、香港全体の大気汚染は近年改善しているとしている。しかし、街中の大気汚染は悪化を続けている。沿道の大気汚染度指数が100を超えると、政府は外出自粛勧告を出す。昨年はそれが172日に達し、2000年の25日から急増している。今年はこれまでのところ134日に上っている。

 中国本土では、15年間使用したトラックは廃車処分とすることが義務付けられているのに対し、香港では使用期間に制限はない。ただ、公営バスは18年後に廃車にしなければならないことになっている。香港では、新車については厳しい排ガス規制が講じられているが、稼働中のディーゼル商用車12万1000台のうち90%超は中古車で、この規制を満たしていない。

 香港政府は、公営バス会社と協力して老朽化したバスへのガス排出削減装置装着に乗り出すとともに、トラック所有者に対し新車への買い換え奨励のための補助金支給制度を導入した。

 2010年に発表された統計によると、香港住民の4分の1は大気汚染の悪化を受けて移住を検討している。また香港に移住してきた人たちの間でも、大気汚染に対する不満は強く、家族を母国に帰国させる者も出ている。香港生まれのお抱え自動車運転手のコー・カム・シンさん(44)は、大気汚染のため鼻や喉に痛みを覚えることが多く、「本当に困っている」と憤る。だが、「一介の市民ではどうすることもできない」と諦めの表情だ。

記者: Te-Ping Chen



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