2012年11月27日火曜日

■高い線量下で暮らす子供たちに、避難をすすめる


高い線量下で暮らす子供たちに、避難をすすめる
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=1127&f=national_1127_026.shtml
2012/11/27(火) 14:50

 福島市と飯館村で10月、放射線量を測定したスイス・グリーンピースのフロリアン・カッセーさんにその結果を聞いた。報告はベルンでの「スイス・アジサイの会」主催の上映会で行われた。「日本の関係当局は、誰も住んでいない飯館村などの除染に力を入れるより、放射線量の高い福島市などの除染に力を入れ、同時に子どもや妊婦には避難をすすめるべきだ」と話す。

 放射線量測定の専門的な教育を受け、世界から集まったグリーンピースのメンバー15人は、日本のスタッフと一緒に福島市内でモニタリングポストが置かれている場所を40カ所選び測定した。モニタリングポストとは、文部科学省が空間放射線測定のために設置した可搬型の測定器。カッセーさんはこの第3回目の調査にスイスから参加した。

 「福島市内の40カ所のうち75%で、モニタリングポストから数歩離れるだけで公式の数値より高い値を記録した」と驚く。さらにモニタリングポストから25メートル離れた場所で、4.5倍から6倍もの高い値を記録したケースもあった。

 「関係当局は、モニタリングポストの周りだけを特別に除染し、実際とは異なる低い値を示すことで市民に安心感を与えているのではないか」と、カッセーさんは疑う。

 実は、日本のグリーンピースによれば、自分たちの測定器で測った市民達から「モニタリングポストの値が低い」との問い合わせが、文部科学省に5月以降、相次いで寄せられた。これを受け、(グリーンピースの発表も相まってか)、文部科学省は今月の5日、数値が約1割低く測定されていた事実を認め、「これは、検出器の横に設置したバッテリーが放射線の一部をさえぎっていたせいだ」として、バッテリーの位置を変える改修工事に取り掛かると発表した。

 文部科学省の返答

 「モニタリングポストの周りだけを、意図的に特別除染したのではないかという疑いをどう思うか」と、文部科学省の原子力災害対策支援本部の担当者に聞いてみた。

 「モニタリングポストを置いた後に除染したことはあっても、除染を前もって行った後に、わざとそこを選んでモニタリングポストを置いたわけでは決してない。そのことはきちんと伝えてほしい」との答えが返ってきた。

 「設置後に除染が行われた場合は、市民からの除染の要求があったのでやった」とも話した。

 しかし、グリーンピースが測定した値は4.5倍から6倍も高い場合もある。たとえ改修工事後に値が1割上方修正されたとしても、それだけでは説明がつかない数字だ。これに対し同担当者は、「(市民やグリーンピースなど)が使うサーべイメーター(線量測定器)は『測っているものが違うために』、モニタリングポストより高い値が出る」と説明する。

 ホットスポットも多い福島市内

 しかし、改修工事などて正確な値を出すことも大切だが、今の課題は「測定された場所はどこも例外なく年間線量1ミリシーベルト以上」の環境で、すでに1年半以上も生活している子供たちの健康問題であるはずだとカッセーさんは言う。

 「福島市内の除染は非常にゆっくりとしか進んでいない。市内には、モニタリングポストの公式の値より1000倍も高い値を示す、いわゆるホットスポットがたくさんある。例えば公園などだ」

 「ある日、子どもたちがそうしたホットスポットの一つである溝の方に走って行って、遊び始めたのにはショックを受けた」と語る。

 正直に認める勇気

 では、こうした除染が遅々として進まない中、子どもたちは避難するしか方法はないのではとの質問に対し、カッセーさんは「グリーンピースは、福島市や郡山市など放射線量の高い地域に関しては避難をすすめるべきだと考えている」と言う。それでも何割かの市民が住み続ける以上、除染は必要。だが適切な除染が行われるまでの間だけでも避難することが望ましい。なぜなら、放射能のリスクにはこれ以下なら安全という「しきい値」がないからだ。

 カッセーさんは飯館村にも測定に行っており、そこで除染が行われている様子を見た。そしてこう指摘する。

 「この自治体の線量は高すぎる。ここが放射能の脅威から逃れられる日がいつか来るとは考えにくい。なぜなら、いくら除染しても周囲の丘から流れ込む水が絶えず放射能を運んでくるからだ。このことを正直に認める勇気を当局は持つべきだ」[里信邦子(さとのぶ くにこ)](情報提供:swissinfo.ch)



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