2012年9月25日火曜日

■世界の主要観光地ですりが増加―巧妙化する手口


世界の主要観光地ですりが増加―巧妙化する手口
http://jp.wsj.com/Life-Style/node_517496
2012年 9月 24日  13:36 JST ウォールストリートジャーナル

 ダグ・ポッドさんは昨年、空港からパリ中心部へと向かう混雑した電車に乗ったとき、危険を察知した。

 米テキサス州ダラス在住の商業写真家で旅行慣れしているポッドさんは、現金自動預払機(ATM)から引き出したユーロをマネーベルト(ベルト型の貴重品入れ)にしっかりと収め、電車の中でクレジットカードとIDが入った財布をジーンズの前ポケットに移した。さらに財布をすぐにつかまれないようそのポケットに小型カメラまで押し込んだ。にもかかわらず、電車からおりたとき、財布はなくなり、ポケットにはカメラだけが残されていた。


 「全く気がつかなかった」とポッドさんは述べ、「十分対策を講じたと思っていたのに」と嘆く。犯人は恐らくポッドさんが財布を前ポケットに移すのを見て貴重品が入っていると考え、襲ったのだろうとポッドさんは推測する。ポッドさんはすぐにクレジットカードの使用停止手続きを取った。

 一部調査によると、警備員や防犯カメラの増加のおかげで、空港での軽犯罪被害は減っている。だが警察やその他専門家らによると、長年の問題である空港を行き来する輸送機関内や欧米の一部主要観光都市のすりは依然健在だ。また手荷物の盗難やホテルの部屋を狙った窃盗も依然減っていない。

 窃盗の発生率やパターンに関する包括的で世界的な統計はないが、各都市の警察当局や観光客の体験談によると、人気の観光都市の多くで窃盗事件は増えているようだ。

 英ロンドン警視庁の統計によると、ロンドンでは携行品の窃盗が過去2年で20%増加しており、警察では「すり対策班」を設置し、巡回に当たらせている。夏季五輪で大勢の観光客が詰め掛けることを考慮し、すりをターゲットにした「プロジェクトスパイダーウェブ」を立ち上げ、通常より多くの警察官を巡回に配置した。フランスのパリでは、ルーブル美術館の来場者の多い場所で警備員の数を増やしている。ノルウェーの首都オスロでは、すりの増加を警告するチラシを観光スポットで配布している。

 米国務省は3月、ポッドさんが使用したシャルルドゴール国際空港とパリ中心部とを結ぶ鉄道路線と観光スポットへと向かう地下鉄路線をすり「頻発地」に指定した。海外から到着したばかりで時差ぼけのうえに、ATMからおろしたての現金を持った観光客は格好のターゲットだ。

 専門家によると、米国では厳密な意味でのすりは減っているが、ひったくりなどのもっとあからさまな盗難が多発している。また、犯罪分析の専門家で米テキサス州立大学の犯罪学教授でもあるマルコス・フェルソン氏は、賭け金を現金でたっぷり持った客が大勢集まる競馬場など、昔ながらのすりに狙われやすい場所も依然存在すると話す。また、ルイジアナ州ニューオーリンズのカーニバル「マルディグラス」など観光客でにぎわう祭りやカリフォルニア州サンフランシスコの混雑した公共輸送機関の中でもすりは頻発している。

 窃盗には、歩いている人のかばんをこっそり開け、財布や携帯電話を取り出す場合もあれば、わざとぶつかるなどして相手と接触した隙に盗む場合もある。また、共犯者にターゲットの目の前で突然立ち止まらせ、もう1人がターゲットにぶつかったふりをして後ろのポケットから財布を盗むといったやり方もある。イタリアの窃盗犯は、ナイフでかばんや男性のジャケットのポケットを切り、中身を盗むことで知られている。

 ターゲットの気をそらすのもよくある手口だ。何か液体をかける、目の前でコインをばらまく、地図を広げて道を尋ねるなどして相手の気を引き、その隙に盗むのだ。

 サンフランシスコ市のバスで昨年11月、3人の男が逮捕された。1人は腕が見えないよう肩からTシャツを羽織っており、刑事が男らの後をつけたところ、容疑者の1人が女性のバッグを開けようとして失敗するのを目撃した。その後、3人が共謀して財布を盗もうとしたところを刑事に取り押さえられ、財布は回収された。

 ロシアの犯罪に関する米国務省のリポートによると、ロシアでは財布を盗み、クレジットカードの番号をスキャンした後に財布を被害者に返却するという大胆な手口も発生しているという。そうすれば被害者がクレジットカードの盗難を届け出ないため、「しばらく疑われることなく不正利用を続けることができる」ためだという。

 クレジットカード利用者も格好のターゲットだ。たとえ海外でクレジットカードの使用停止処理を行っても、少額の買い物であれば銀行のコンピューター承認を必要としないためだ。アメリカン・エキスプレスもマスターカードもビザも、カードの紛失や盗難があっても、特定の窃盗については追跡していないという。

 多くの都市ですりやひったくりが一向になくならず、一部では増えている理由には、特にこれといった明確なものは見あたらない。

 だが一因として考えられるのは、アイフォーンなど持ち去りやすい貴重品を携帯する人が増えていることだ。また今日のように国境を越えた行き来が簡単になっていることも、犯罪組織が観光客相手の犯罪ネットワークを形成しやすい要因になっていると専門家は話す。

記者: Scott McCartney




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