2012年9月25日火曜日

■観光地、台湾からの客足減警戒 漁船の領海侵犯


観光地、台湾からの客足減警戒 漁船の領海侵犯
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG25044_V20C12A9CR8000/
2012/9/25 20:38

 沖縄県・尖閣諸島周辺の日本の領海に25日侵入した計四十数隻の台湾の巡視船や漁船団。同諸島国有化後、中国船が繰り返し侵入し緊張が高まる中、続いた台湾の示威的行動に関係者は首をかしげる。「親しみを持っていたのに」「なぜ……」。台湾から多くの観光客を受け入れる国内のリゾート地は客足への影響を心配し、在日台湾人も困惑の表情を浮かべた。

 雄大な大雪山の自然や温泉を楽しめ、外国人客からも人気の高い北海道中央部の層雲峡。外国人宿泊客の約8割を台湾が占めるリゾートホテルの担当者は「今後、予定通り宿泊してくれるだろうか」と気をもむ。

 中国人客は既に、9月に訪日する予定の約30人の団体客の予約がキャンセルに。台湾人客は8月に約1800人、9月は約1000人を受け入れる見通しで「台湾からキャンセルが相次いだら影響が大きすぎる」。

 中国や台湾で宣伝を行い、観光客の誘致に力を入れる神奈川県箱根町では、10月分の中国人客約600人の大口予約がキャンセルになるホテルも出ている。台湾人客については現地の代理店を通じ、来月以降、月数百人が予定通り来ることを確認。担当者は「国家レベルの話だから、注意深く見守ることしかできない」と悩ましげだ。

 横浜・中華街の在日台湾人にも困惑が広がった。台湾系の華僑らでつくる横浜華僑総会の張如偉事務局長によると、中国の反日デモの影響で、一部の店舗は売り上げが減少。台湾船団の領海侵入には「すべての台湾人を代表した意見や行動ではない。個人的には迷惑だ」と訴えた。

 来日30年超の台湾料理店の50代の男性店主も「日台は親しい関係なのだから、もめる意味はない」と強調した。

 日本の対台湾窓口の交流協会(東京)が台湾で行った2011年度の世論調査では、日本に「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」と回答した人が全体の75%。同協会担当者は「本来は親日的なところなのに、非常に残念。大事な関係に影響が出ないよう理解と協力が必要だ」としている。



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