2012年9月25日火曜日

■中国企業が海外で受けるカルチャーショック


中国企業が海外で受けるカルチャーショック
http://jp.wsj.com/Business-Companies/node_518303?mod=Center_Market
2012年 9月 25日  13:09 JST  マーケットウォッチ

 【香港】海外進出を目指す中国の旗艦企業はカルチャーショックを受けるだろう。言葉や食べ物の違いではなく精査されることについてのショックだ。これが本国との最も大きな違いである可能性がある。

 情報開示と透明性への要求に関し、西側諸国と中国は対極にある。中国では情報とメディアは厳しく管理されている。加えて、中国共産党の広範な影響力―規制当局から企業オーナーにまで至る―があり、こうした中国と西側の体制の違いによる対立は激化しているようだ。

 今、注目を浴びている事例がある。米議会の公聴会に中国の通信ベンダー、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)と中興通訊(ZTE)が呼ばれ、両社が中国政府の一組織だとの主張に反論している。ZTEの幹部は、同社が「中国でも最も独立した、透明性ある、世界に照準を合わせた上場通信会社」だと強調した。

 しかし、米国の議員らは、いまや世界第2位の通信機器メーカーとなったファーウェイはともかく、ZTEの言うことには一理あるかもしれないとはしながらも、ZTEの主張に納得したわけではない。ファーウェイはここ何年か株式公開を阻まれており、中国人民軍と密接な関係にあるとの見方の払拭に努めている。

 以前、中国企業は知的財産を盗んでいるとの見方に対処するだけでよかったが、現在では企業のインフラが中国政府によってスパイ目的に使われるとの懸念が強まっている。これが米国などで中国企業の拡大を失速させる要因となっている。

 また、先週は、資産規模で中国第2位の銀行である中国建設銀行が1000億人民元(1兆2300億円)を投じてある欧州銀行を丸ごと、あるいは少なくとも30~50%の株式を買収する用意があると報じられた。中国が海外でも国家資本主義的な動きを強めるなか、ここでも誰が主導権を握っているのかという問題にスポットライトが当てられることになる。

 証券会社CLSAは先週発表した最新のアジア企業統治報告で、企業統治の質という点において中国は今年最も大きく評価を下げたと述べた。報告は特に、重要な懸念材料の1つとして、公開企業に対する共産党の役割に関する透明性が欠けている点を指摘した。上場した国営企業の取締役会の上に党の影の取締役会があり、企業戦略、需要投資、人事について日ごろから重要決定を下していると言われている。

 この管理組織の全貌がリチャード・マクレガー著「中国共産党 支配者たちの秘密の世界」で検証されている。これには、中国のトップ50の国営企業の会長がそれぞれ、政府首脳と直通の赤い電話を机の上に置いている、といった興味深い事実が詳細に書かれている。

 問題となることが明らかなのは、企業が商業的な原則というよりも政治的原則で運営されているという点だ。中国の銀行が欧州銀行を買収したり、大株主になる時には、考慮しなければならない点だ。

 しかし、共産党の役割は株式公開時の書類からは省かれている。通常、法律によって機密扱いが認められているためだ。実際、中国によるその「国家機密」法の適用はますます、株式市場の透明性への要求と対立するケースが増えている。2011年の新しい国家機密法の影響は既に香港市場に表れている。中国高精密自動化集団は最近、一部のデータを監査会社に提出しなかったことから上場できなくなった。

 いわゆる国家機密は、一連の詐欺と会計上の問題が発覚したのを受けて、米国内に上場している中国企業の監査業務を監視しようとしている米規制当局との間の対立でもその中心にある。中国政府は国際的な「大手4社」を含む監査法人が国内で監査報告を公表することを禁じている。

 しかし、若干の進展もある。米公開企業会計監督委員会(PCAOB)が中国で監査業務を監視するのを認めることで先週末、合意が成立したのだ。これは、米国で全ての中国企業が上場廃止処分になるとの最悪のシナリオさえ一部で予想されているなかで、心強い妥協の兆しと言えそうだ。

記者: Craig Stephen



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