2012年9月28日金曜日

■工場暴動、中国社会の緊張の高まり浮き彫りに


工場暴動、中国社会の緊張の高まり浮き彫りに
http://jp.wsj.com/Business-Companies/node_519648?mod=WSJWhatsNews
2012年 9月 27日  10:18 JST

 【太原(中国山西省)】米アップルなどの電子機器の部品を製造する工場で起きた暴動は、世界の製造工場としての中国の地位を脅かす圧力を暴露した。工場従業員らは、煩わしい保安体制や抑圧的な生活条件が暴動の一因になったと話している。

 台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業傘下、富士康科技(フォックスコン)の山西省太原工場で23日に起きた暴動は、勤勉で素直な中国人従業員に依存しているアップルのサプライチェーンへの懸念という問題をはるかに越える難題だ。

 この暴動によって、これまで高い評価を得てきた中国の製造業の持続性に対する疑問が浮上した。経済の2桁成長時代に成人となった新世代は、親のように国のために身をささげることに消極的だ。同国政府には、その高い期待を満足させるという課題も突きつけられている。

 同工場の数十人の従業員は26日、質問に答えて、今回の暴動は工場構内での厳しい保安体制をめぐり緊張が高まっていたことが一因となったと述べた。暴動では40人が負傷し、約5000人の警官が出動した。

 ある従業員は、酔った2人の従業員のけんかを止めようとした何人かの警備員が暴力を振るったとし、警備員の暴力に対して従業員が仲間に救いを求め、それが、警備員と従業員との暴力沙汰に発展したと話した。

 フォックスコンは、警備員が同社の政策に違反したことを示す証拠はないとしながらも、警察の捜査で違反が判明すれば、「適切な措置」を取るとしている。

 3人の目撃者によると、このけんかに多くの従業員が加わり、窓を壊したり、火を放ったりした。同工場の従業員は7万9000人に上る。米ゼネラル・モーターズ(GM)の米国内従業員数に匹敵する。

 名前は伏せたが、人民解放軍の身分証明書を見せたある目撃者(28)は、警備員が従業員に暴力をふるっているのを見て怒りを覚えたとし、「彼らはまだ子どもで、何らかのけんかが発生するのは自然なことだ。だがその子たちの間に割って入って殴りつけるなんて信じられない」と話した。この目撃者によると、この暴動のあと従業員は事件について何も直接的に情報を与えられないため、工場ではうわさが広まっている。警察と警備員は、携帯電話で暴動の写真を撮ったり記録しようとしていた従業員をターゲットにしていたという。

 同社は警察の捜査が終わった時点で事件について従業員に報告するとしている。

 2009年に従業員が相次いで自殺したことが報じられて有名になるまでは西側でほとんど知られていなかったが、フォックスコンはヒューレット・パッカード(HP)やソニー、アマゾン・ドット・コム、それにアップルなど世界的な電子機器メーカーの機器や部品を製造したり組み立てている。ホンハイは1974年、台湾の実業家、郭台銘(テリー・ゴウ)氏が設立。今年上半期の純利益は9億ドル(700億円)以上だった。フォックスコンは中国内で約100万人を雇っている。今回の事件は40年近い同社の歴史でも最大級の暴動だ。

 多くの従業員は、以前から警備員に問題があったと述べた。単なる口げんかから暴力沙汰まで衝突の程度はざまざまだが、中国の新世代は、以前大規模工場にいた従順な旧世代の出稼ぎ労働者に対してとられていた厳しい軍隊式管理に耐えられなくなっているようだ。また、中国の労働人口がピーク期を迎え、労働市場がタイトになっている。このことは新世代に職場選択の余地が広がっていることを意味している。

 王という名字を名乗った、フォックスコンで2年前から働いているという従業員(24)は「ここでは安心していられない」と話した。

 フォックスコンによると、人手不足を埋めるとともに従業員訓練のために同社は南部の深圳や河南省鄭州の工場から一部の従業員を太原に移している。5月に深圳から移ってきた王さんは、警備員の態度は威圧的だとし、ある夜、規則に反して寮の部屋でポーカーをしているところを見つかり、同僚とともに寮の最下階に連れて行かれて、解雇すると脅されたと話した。王さんは「深圳ではそんなことはなかった。深圳のガードマンは品格があった」としている。

記者: Paul Mozur



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