2012年10月29日月曜日

■住宅ローン返済にあえぐ庶民層の実態


住宅ローン返済にあえぐ庶民層の実態
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/10/28/2012102800065.html?
2012/10/28 08:26 朝鮮日報

 金融会社の管理職Aさん(41)は「住宅ローンを返済するため、資金繰りに追われ、出費を極端に減らしている」と話した。

 Aさんは2005年にマンションを購入し、銀行から2億6000万ウォン(約1780万円)を借り入れた。利払いだけで月に100万ウォン(約6万9000円)かかる。それでも、子どもの教育費には当座貸越を利用し、月200万ウォン(約13万7000円)を支出してきたが、昨年末限界に達した。当座貸越が3000万ウォン(約206万円)を超え、現在の所得ではこれ以上借金に耐えられなくなったからだ。債務を減らそうと、自宅を売りに出したが、4億ウォン(約2740万円)で購入したマンションは、3億6000万ウォン(約2470万円)でも買い手が付かなかった。

 結局、Aさんは今年初めから生活を極端に切り詰め始めた。小学校に通う子どもには算数を直接教えることにした。毎月10万ウォン(約6900円)の月謝で習わせていたサッカーやバイオリンもやめさせた。服はディスカウント店で8割引のものだけを購入するほか、食料品を買いに大型店に行く回数も減らした。衝動買いを防ぐため、あらかじめ作成した購入リストにない商品には目もくれなかった。外食は家族の誕生日のときだけにした。Aさんは「1日に2箱吸っていたたばこもやめた。子ども2人のネイティブ英語塾だけは続けさせたいので」と話し、ため息をついた。

 不動産景気の低迷が長期化し、Aさんのように住宅ローンが原因で貧困に苦しむ「ハウスプア」が増えている。住宅価格が下落し、ローンの返済負担が増大する中、不動産市場の低迷で自宅を売却することもできず、完全に窮地に追い込まれている。結局、選択肢は財布のひもを締めることしかない。ハウスプアが原因の消費低迷は既に広がっている。

■デパートの1人当たり購入額18%減

 大企業の広報部長Bさん(45)にとって、デパートはセールのときだけ行く場所だ。仕事で外回りが多いため、服がたくさん必要だが、定価で服が買えるほど余裕はない。毎年200万ウォン(約13万7000円)を住宅ローンの返済に充て、子どもの塾費用を支払うと、生活費が足りず、当座貸越を利用している。ローン残高が増え続け、信用評価が低下したため、これ以上借り入れもできなくなった。

 Bさんのような人たちが増え、最近デパートや大型スーパーは、販売不振が深刻だ。大手デパート3社(ロッテ、現代、新世界)では、5月の顧客1人当たりの購入額が前年同月比18%減の7万3585ウォン(約5000円)にとどまった。窮地に追い込まれたデパート業界は、5月から早くも「サマーセール」に突入した。セールのおかげで、5月の売上高は前年同月比1%増となったが、業界関係者は「値引きを行った結果、利益は20%近く減少した」と打ち明けた。

 大型スーパーのイーマート、ホームプラス、ロッテマートでも、5月はスポーツ用品以外の全品目で売上高が減少した。特に食品の売り上げは、前年同月を6.5%下回り、過去1年4カ月で最大の落ち込みとなった。5月の顧客1人当たりの購入額は、今年1月に比べ15%減少した。

■教育費も削減

 中央官庁の公務員Cさん(46)は、住宅担保ローンの元利金返済に205万ウォン(約14万1000円)を充てている。月給の40%を銀行に支払っている格好だ。生活費の赤字が続く状況の中、最近住宅財形貯蓄や投資ファンドを解約し、700万ウォン(約48万円)を生活費に充てた。昨年末に親族から借りた1000万ウォン(約69万円)も当分返せる見込みはない。結局、2人の子どもの塾を2科目から1科目に減らした。

 住宅ローンを毎月150万ウォン(約10万3000円)ずつ返済している中小企業の管理職Dさん(43)も最近、中学生の娘と小学生の息子の塾を全てやめさせ、学習雑誌や教育放送(EBS)で勉強させることにした。

 借金の返済で資金繰りに行き詰った家庭は、消費支出で最後のとりでといわれる子どもの教育費を減らし始めた。韓国の家庭が昨年支払った塾費用は月平均17万8000ウォン(約1万2000円)だが、物価上昇率を考慮すると、支出額は前年を2.3%下回った。今年第1四半期(1-3月)にも、家庭の塾費用支出は前年同期比で1.6%減少した。

 ハウスプアの増加を背景とする消費低迷は、金融危機や世界的な景気低迷の影響で成長が鈍っている韓国経済に致命的な打撃となり得る。現代経済研究院のイ・ジュニョプ研究委員は「住宅ローンの債務負担が消費の足かせとなり、消費低迷が成長を鈍らせる悪循環を断たなければ、韓国経済は長期不況の泥沼に陥りかねない」と警鐘を鳴らしている。




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