2012年10月31日水曜日

■「輸出で危機打破」の公式揺らぐ韓国


「輸出で危機打破」の公式揺らぐ韓国
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2012/10/29 10:01 朝鮮日報

 世界3位の造船会社、現代重工業による今年の受注額は先月現在で131億ドル(約1兆400億円)で、前年同期に比べ40%以上落ち込んだ。今後2-3年の船舶建造量を示す受注残は先月時点で476万CGT(標準貨物船換算トン)となり、ピーク時の30%まで減少した。造船業界の関係者は「過去2-3年間、最大の発注元である欧州の景気低迷で商船の発注が激減し、今後の輸出見通しも暗い」と話した。

 高機能性登山服の生地を欧米に輸出する大邱市の繊維業者A社は今月に入り、ウォン高進行で10億ウォン(約7270万円)以上の収入が吹き飛んだ。繊維業界は代金決済が契約の約3カ月後となっており、最近のウォン高でウォン建てでの収入が目減りした。A社代表は「世界的な景気低迷で利ざやが昨年に比べ30%以上縮小している状況で、ウォン高まで重なり死にそうだ」と語った。

■世界的な景気低迷との二重苦

 対外依存度が高い韓国経済にとって、輸出は最後の下支えであり、危機脱出のけん引車だった。1997年のアジア通貨危機、2001年のITバブル崩壊、09年のリーマン・ショックなど韓国経済が危機に直面するたびに、韓国は活発な輸出で「V字型」の回復を遂げた。3回の危機では、輸出がいずれも急減(98年2.8%減、01年12.7%減、09年13.9%減)したが、翌年にはドラマチックな回復(99年8.6%増、02年8.0%増、10年28.3%増)に成功した。

 しかし、今回は状況が異なると指摘されている。前例のない世界同時不況が長期化し、世界的に韓国の輸出の受け皿が縮小しているためだ。07年の米国に端を発した金融危機が回復局面に入る前に欧州財政危機が起き、世界経済は深い不況の泥沼にはまった。欧州はマイナス成長に陥り、米国はやや景気回復の兆しを見せてはいるものの、わずかな成長にとどまり、中国経済まで成長が鈍化している。問題はこうした状況が今後5-10年続くとの観測が出ていることだ。

 サムスン経済研究所のクォン・スンウ・マクロ政策室長は「一国の財政危機を克服するだけでも10年かかるが、欧州財政危機はスペイン、イタリア、ポルトガル、ギリシャなど複数の国にまたがる。世界経済は長期の低成長局面を免れないだろう」と分析した。

 さらに追い打ちとなったのは、10月にウォン相場が1100ウォンを割り込んで上昇していることだ。「世界経済の低迷→輸出減少→ウォン安→輸出競争力回復→輸出増加→景気回復」という韓国特有の景気回復公式が揺らいでいる格好だ。金融委員会の金錫東(キム・ソクトン)委員長は「現在韓国経済は危機を輸出で打開できた過去の幸運とは異なる環境に直面している。長期的な低成長局面に突入した状況で、不幸にも非常に悪い外部環境にぶつかった」と述べた。

■世界的な貿易低迷

 外部環境の悪化は世界の貿易統計からも明らかだ。世界貿易機関(WTO)によると、世界の商品貿易(金額ベース)の増加率は2010年が21.7%、11年が19.7%だったが、今年上半期は1.7%にとどまった。全世界の貿易動向は輸出立国の韓国には最も重要な指標だ。1997年以降で世界の商品貿易の伸びが2%以下に落ち込んだのは、通貨危機直後の98年(1.4%減)とITバブル崩壊直後の2001年(4.1%減)、リーマン・ショック直後の09年(22.5%減)の3回しかない。

 世界貿易の鈍化は直ちに韓国の景気低迷につながる。輸出が減少すれば、韓国国内の設備投資、製造業の生産が同時に減少する。設備投資は今年第1四半期(1-3月)には前四半期比で10.3%増えたが、第2四半期(4-6月)、第3四半期(7-9月)はそれぞれ7.0%、4.3%減少した。製造業生産も2010年が前年比16.8%増、昨年は7.0%増だったのに対し、今年1-8月は前年同期比2.2%減少した。

 韓国の輸出品目で首位の造船だけでなく、自動車、鉄鋼も世界的な不況で苦戦している。造船業の9月の輸出は前年同月比で50.6%減少したほか、自動車は5.0%、鉄鋼は9.1%減となった。縮小した輸出市場を企業が争奪しているために採算性も低下する一方だ。鉄鋼業界の関係者は「中国、日本の内需が低迷し、安価で鉄鋼製品を輸出しているため、韓国は苦しい競争を強いられている」と述べた。



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