「家や車は親のカネで」 韓国ドラマの誤った結婚観
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2012/10/28 09:23 朝鮮日報
過去12年間の人気ドラマを分析
誤った成功・結婚観を植え付ける…西欧のドラマでは軽蔑の対象
韓国ドラマの問題点の一つに「誤った成功感覚と結婚観」が挙げられる、と専門家たちは指摘する。
本紙取材チームが、2000年以降に韓国で放映された年間視聴率トップ5のドラマを分析したところ、もっともありがちなパターンの一つが、貧しい主人公が紆余(うよ)曲折を経て幸せを手にするストーリーだった。『明朗少女成功記』(SBS、2002年)、『パリの恋人』(SBS、04年)、『私の名前はキム・サムスン』(MBC、05年)、『19歳の純情』(KBS、07年)、『君は僕の運命』(KBS、09年)、『シークレット・ガーデン』(KBS、11年)などが代表的だ。
ソウル大学の郭錦珠(クァク・クムジュ)教授(心理学)は「一見すると肯定的な成功談のようだが、2000年以降のドラマを詳細に見てみると『自立に対する恐怖心』と『依存することを当然と考える心理』が随所ににじみ出ている」と指摘した。
例えば、主人公の男性は自分の力で財産を築くことができず、親が設立した会社で若くして「室長」「社長」などと呼ばれることになる。相手の女性は、自分の才能や努力で成功するのではなく、結婚を通じて高い身分を手に入れる。半地下の部屋を間借りするような主人公はめったにおらず、大半は広くて快適な家で当然のように新婚生活を始める。
『憎くても可愛くても』(KBS、08年)や『製パン王キム・タック』(KBS、10年)のように、貧しい男性が主人公というケースもあったが、ふたを開けてみれば「実は主人公は金持ちの隠し子で、御曹司だった」という結末が待っている。
もちろん、西欧の映画やドラマの中にも、貧しい女性が素敵な男性と結婚する「シンデレラストーリー」は多い。だが、同じようなシンデレラの話でも、西欧では自分の力で高い地位に上り詰める男性が主人公になることはあるが、韓国ドラマのように、親のカネで家や車を購入するという男性が登場することはない。
家庭問題や結婚関係の専門家であるチェ・ソンエHD心理研究センター所長は「西欧のメディアでは、親のカネでぜいたくをする人間は軽蔑の対象として描かれるが、韓国ドラマでは、そういう人間が羨望の対象として登場する」と指摘する。
一時期は韓国でも『愛と野望』(MBC、1987年)のように、自力で出世競争を勝ち抜く若者を描いたドラマが人気を集めていた。なぜ現在のように反対の状況になってしまったのか。ソウル女子大学のキム・スンス教授(元MBCドラマ局長)は「ドラマと現実は共に歩む」と語る。
韓国社会は現在に至るまで、貧富の格差がますます拡大し、就職難もいっそう深刻になった。若者が自力で新居を準備することはほとんど不可能になったのだ。その結果、若者たちは徐々に結婚の条件を引き上げるようになった。それと同時に、ドラマでも自力で階段を上がっていく人物は減り、結婚と相続によって一度に階層を飛び越える、まさに「ドラマのようなストーリー」が大幅に増えたのだ。
結婚情報会社「ソンウ」のイ・ソンミ・カップルマネージャーは「かつては、家庭環境に恵まれた女性顧客が、貧しい家庭からはい上がって成功した男性を選ぶケースがかなりあったが、最近は女性の大半が『本人が賢い人かどうかは関係ない。専門的な人ではなく、親が裕福な人を紹介してほしい』と要求してくる」と話した。
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