中国経済の発展は文化の復興意味しない=世銀チーフエコノミスト
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=1030&f=national_1030_029.shtml
2012/10/30(火) 16:34
世界銀行のチーフエコノミスト、林毅夫氏は29日、「中華民族の復興を追い求めるなら、経済発展を実現するだけでなく文化の復興が必要」と述べた。林氏は「経済発展と文化の復興は別」との見方を示し、「中華文化が簡単に消えることはない。ただし、消滅する可能性がないとは言えない」と述べた。中国新聞社が報じた。
北京大学世界倫理センターの発足式典における発言。中国は1979年時点で、世界最貧国のひとつだったと述べた上で、「2011年には平均所得が5400ドルに達し、世界上位に入るようになった」、「2012年には6000ドルになる見込みで、2030年には世界的にも高収入国家になる可能性がある」と、中国は経済の高度成長を実現し、実現しつつあると論じた。
林氏は一方で、「経済面での発展は、文化の復興を示すものではない」と指摘。中国文化について「先進的な文化がいったんは、遅れた文化になってしまった」と述べた上で、「文化の源は影響力を持ち続け、数千年にわたって綿々と続いてきた」、「中華文化の中核である『仁』の価値観に変化ない」など、中華文化について「簡単に消えることはない」との考えを示した、ただし、林氏によると、中華文系が「消滅する可能性がないとは言えない。歴史的には古代エジプト、ローマ、そしてバビロニア文明も消え去った」という。
林氏は、中華文化に生命力を保たせるためには「文化学者、知識人が周囲や次の世代に対して常に影響を与え続けること」が必要と主張。「仁」を中核的な価値としながら、常に新しい表現形式を獲得させねばならない」と論じた。
林氏によると「中国は自らの文化を復興させる過程において、その他の発展途上国の鑑(かがみ)となる」ことが望ましい。その上で、21世紀が世界のさまざまな文化が調和する偉大な時代になってほしいと願っているという。
◆解説◆
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「仁」は中国思想における「人として最も重要な徳目」のひとつであり、「他人に対する親愛の情、やさしさ」、「もっとも普遍的で包括的、根源的な愛」を意味する。儒教が強調する「孝」、「悌」、「忠」なども、「仁」のあらわれの一形態と考えてよい。社会秩序である「礼」も、「仁」の心により支えられるとされる。
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林毅夫氏は1953年、台湾に生まれた。台湾大学を中退して、軍に入隊。中隊長を務めたが、1979年5月に金門島から約2キロメートルの廈門(アモイ)まで泳いで渡り、大陸側に亡命した。その後、北京大学で学び経済修士号を修得。米シカゴ大学、イェール大学などでも学んだ。2008年からは、世界銀行のチーフエコノミスト。同職位は世界銀行の副総裁に相当し、国際経済において最も影響力が大きい職位のひとつ。
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