2012年10月31日水曜日

■韓国の大企業が相次ぎ資産売却


韓国の大企業が相次ぎ資産売却
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/10/30/2012103000796.html
2012/10/30 10:17 朝鮮日報

「カネになるものは売れ」
5年間で系列企業倍増させたツケ

 SKグループの崔泰源(チェ・テウォン)会長が最近開いた役員会は深刻なムードだった。崔会長は「投資をするなら利益を出さなければならない。あと2-3年だけ待つ」と語ったという。半導体不況でSKハイニックスの赤字が膨らんでいることを念頭に置いた発言だ。SK関係者は「決定事項ではないが、グループレベルでの構造調整を検討している点は間違いない」と認めた。

 景気低迷が長期化し、韓国の大企業の一部が本格的に構造調整に向けた検討を開始した。ポスコはこのほど、系列会社が保有する商業施設であるベトナム・ホーチミン市「ダイヤモンド・プラザ」、慶尚南道昌原市の大宇百貨店、釜山市の「セントラル・スクエア」を一括売却することを決めた。大企業が構造調整に乗り出した背景には、不況による直接的な影響もあるが、これまで無秩序に系列会社を増やす放漫経営を行ってきたツケが回ってきた側面もある。

 韓国の大企業は2008年に世界的な金融危機が起きた際にも構造調整をほとんど行わなかった。むしろ金融危機直後に中国が4兆元(約51兆円)規模の景気対策を実施し、中国特需で高成長を遂げた。10大企業グループの系列企業数は2007年の364社から今年には638社へとほぼ倍増した。

 新たに設立された系列企業には、新成長分野を探るために不可欠な投資もあったが、相当数は経営規模を拡大するための投資で、「たこ足拡張」との批判を浴びた。しかし、欧州財政危機が長期化し、中国もこれまでのような8%以上の高成長が望めなくなる中、放漫経営が業績の足かせとなった格好だ。財界関係者は「サムスン、現代自動車など一部企業を除けば、韓国企業が一斉に構造調整に乗り出している状況だ」と語った。

■社屋など売却し現金確保

 企業の構造調整はさまざまな形で進められている。今年上半期に入り、一部企業は財務状況を改善するため、カネになる資産を手当たり次第に現金化している。こうした企業は過去数年にわたり、攻撃的に経営規模を拡大してきた。

 現代グループは今年8月、ソウル市鍾路区蓮池洞の社屋をコラムコ資産運用に2262億ウォン(約164億円)で売却し、社屋のリースバックを受けた。売却代金は系列各社が同社屋を購入した際の出資分に応じて回収していった。

 社屋だけでなく、営業店舗や工場を売却し、現金を確保する企業も増えている。CJグループは先月、CJ第一製糖の小麦粉工場(慶尚南道梁山市)とCJ GLSの物流センター3カ所(忠清北道沃川郡・清原郡、慶尚北道慶山市)、CJシステムズのITセンター(仁川市松島)などを売却した上でリースバックを受ける形で、1500億ウォン(約109億円)の現金を確保した。

 CJグループは「大韓通運の買収で1兆ウォン(約727億円)の資金を使ったため、キャッシュフローを確保することが目的だ」と説明した。

 内需低迷にあえぐホームプラスもソウル永登浦店など4店舗を売却した。

 STXグループは系列企業の売却を選択。経営権を維持する条件で、日本のオリックスにSTXエナジーの株式49%を売却する方針だ。

■系列企業の吸収合併で組織スリム化

 系列会社間の吸収合併を選択する企業もある。ロッテはロッテショッピング、ロッテ美都波を合併させたのに続き、来年初めまでに系列会社の合併を3-4件進める予定だ。世界的な景気低迷で経営環境が悪化していることを受けた措置だ。系列企業の湖南石油化学は年内にKPケミカルを合併する。

 STXグループはSTXメタルとSTX重工業の合併を決め、CJグループも宅配事業のCJ GLSとCJ大韓通運の合併で経営の効率化を図る計画だ。

 しかし、大企業中心の構造調整は連鎖的に雇用情勢の悪化、内需の冷え込みにつながる懸念もある。系列企業の吸収合併はグループ内の組織の重複をなくすことが狙いで、人員削減が避けられないためだ。財界関係者は「年末に示される解雇者リストが怖い」と話した。

 延世大経営専門大学院の朴尚用(パク・サンヨン)院長は「大企業の構造調整は国家経済全体の景気低迷を加速させる悪循環をもたらすことがあり得る。大企業の緊縮経営は中小企業、中堅企業に大きな影響を与えるため、政府や民間団体が適切な調整役となる必要がある」と指摘した。




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