2012年9月15日土曜日

■日本への中国人旅行者が最大20%減も-尖閣諸島問題で


日本への中国人旅行者が最大20%減も-尖閣諸島問題で
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MAAMZD6TTDVB01.html
2012/09/14 12:00 JST

  9月14日(ブルームバーグ):日本政府観光局(JNTO)は、尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐる問題の影響で、中国からの旅行者数が最大20%落ち込む可能性があるとの見方を示した。
JNTOの海外プロモーション部のマネジャー、小堀守氏は13日のブルームバーグ・ニュースの電話取材で強い懸念を表明。その上で、旅行者数に影響が出るのは確実で、問題はどの程度減るかだと指摘し「このような政治的な対立の場合、過去の例からみて最高の水準との比較で10-20%落ち込む可能性もある」と述べた。

また小堀氏は「2010年9月の中国漁船の衝突事件の時は、その後3カ月ほど減少した経緯があるのでその程度になるかもしれない」とし、影響が出る場合は「9月後半から10月からだろう」と予想した。
昨年の東日本大震災、福島原発事故で激減した海外からの観光旅行の需要が回復しつつあるなかで、今回の尖閣をめぐる対立は日本の観光業界にとっては痛手となる。

中国は、10月1日の国慶節を挟んだ大型連休が始まるため、例年、観光業が盛り上がりを見せる時期だが、同国最大の旅行ポータルサイトのオーナーである携程旅行網は日本向けのプロモーションの取り扱いをやめた。

チャイナ・コンフォート・トラベル・グループは、中国全土で運営している5000店以上の旅行代理店で、全ての日本への旅行プランをキャンセルし、返金に応じている。同社の成都オフィスのマーケティング・マネジャーのステファニー・リウ氏は「利益を犠牲にすることにはなるが、われわれの日本政府への怒りを表明したい」と語る。そして、「ほとんどの顧客は状況を理解してくれている」と説明した。
また中国春秋航空の親会社である、上海春秋国際旅行社の広報担当者ジャン・ウー氏は4割の予約減少だと明かす。


邦人被害の報告も

日本の尖閣諸島国有化を受けて中国では反日感情が高まっており、上海の日本総領事館はウェブサイトで在留邦人に注意を呼び掛けている。13日付の注意喚文書によると、「酒に酔った邦人3人が中国人女性をナイフで傷つけた」など反日感情を煽(あお)る偽のインターネットの書き込みも散見されるほか、邦人からの報告では「『日本人か』と声をかけられ、突然、脚を数回殴られ打撲傷を負った」との例もあったとしている。

ニューヨーク総領事館も13日、今週末から来週初めにかけて総領事館前で中国系住民による示威行動が行われるとの情報があるとして、不測の事態を避けるため、十分注意するよう呼びかけた。
10年9月に、尖閣諸島付近で操業中の中国漁船が、日本の海上保安庁の艦船に衝突した事件では、結果的に中国人の訪日総数は11月には前年同月比16%減となり、観光客では35%減まで落ち込んだ。


緊張の深刻化を懸念

HISの広報担当、清水学氏は、これまでのところ、日本から中国へ向かう旅行で、大きなキャンセルは出てはいないが、新規の顧客のなかには旅行先を変更することや延期したりするなどのマイナスの影響は既に出ているという。今後の両国政府間の緊張が深刻化すれば、より影響が出てくるのではないかとの見通しを示した。

観光コンサルティングを手掛ける観光文化研究所の大坪敬史社長は、中国からの団体のキャンセルについて、本人や旅行会社の意思というよりも、一定の政治的な圧力が旅行会社にかかっているのではないか、との見方を示す。その上で、日中の交流が途絶えることはないだろうが「観光が政治の道具として使われている現状は残念だ」と懸念を示し、一刻も早く両国の観光産業の回復を望むと語った。



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