憤懣本舗「『パクリ大国』のあきれた“狙い”」
http://www.mbs.jp/voice/special/201204/23_421.shtml
2012/04/23 毎日放送
月曜日は憤懣本舗!
今回は、中国で相次いでいる日本の地名や特産品の商標被害を取り上げます。
今回、そのターゲットになったのは、梅の産地として知られる和歌山・紀州ブランドなんですが、こうして次々と日本の商標を奪い取る中国企業の狙いはなんなのでしょうか?
梅の産地で知られる和歌山県田辺市。
創業明治30年のこちらの工房では、梅を1つずつ手作業で詰めていきます。
こだわりの梅酒には、「完熟南高梅」が使われています。
<中田食品 中田吉昭社長>
「落下した実は完熟しているので、そういう原料だけを集めて仕込んでいます。完熟の味と香りが楽しめるのが当社の商品の特徴です」
<試飲する観光客>
「あー、おいしいわー」
「紀州の梅は日本一だと思う、今食べた梅なんかお菓子みたい」
日本でも人気を集める梅酒。
これを武器に中田社長は、海外にも本格的に進出しようと考えています。
ターゲットにしたのは、経済発展を続ける…
中国です!
中国の食卓にも梅は日常的に並んでいて、最近は健康志向もあって特に女性に人気です。
<試飲する上海市民>
「(訳)とてもおいしいです。梅酒は好きですよ」
ところが!
この中国進出に"足かせ"となる深刻な問題が起きたのです。
実は、中国企業が「紀州」と「和歌山」を中国当局に商標申請していたのです。
紀州の地名が、中国企業のものになってしまうのか。
商品のラベルに「紀州」と銘打っている中田社長は、不安を隠せません。
<中田食品 中田吉昭社長>
「『紀州』というブランドがおさえられていると知って、正直うろたえております」
「紀州ブランド」の育成に取り組む、和歌山県の担当者も中国企業に不満を露にします。
<和歌山県産業技術政策課 出口博之課長>
「(『紀州ブランド』という)商標を取得している中国の企業が、他の販売、品質の悪いものを売り出す、それによる地名のイメージダウンも出てきますから、ゆゆしき問題と」
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(Q.君は誰?)
<ぬいぐるみをかぶった中国人>
「ドラえもんだよ!」
これまでも、中国では何度もニセモノが取りざたされてきました。
今も上海の大手スーパーに行くと、「京都」や「大阪」の文字が入ったラーメンが。
大阪の味にはうるさい上海特派員が実際、「大阪ラーメン」を食べてみることに…
<上海支局の記者>
「いわゆる酸辣(サンラー)ラーメンの味ですね、酸っぱくて辛いスープで、特に大阪と関係ある感じではありません」
ニセモノ展示を行うなど商標侵害の対策に取り組む北京の「ジェトロ」の担当者は、日本の地名が中国製品のイメージアップに使われていると指摘します。
<「ジェトロ北京」知的財産権部 亀ヶ谷明久部長>
「日本の商品にとてもいいイメージがあって。品質がいい、安全というイメージが中国の国民にある。そういう日本の地名をつけることによって、いいイメージを作り出して物を売りやすくする」
最近では中国企業が日本ブランドなどの商標を取り、日本側が商品名を使えなくなっているケースが相次いでいるのです。
日本を代表する焼酎の「森伊蔵」や「村尾」も、商標を取られてしまいました。
さらに、完成したばかりの「東京スカイツリー」も…
商標を先に取られてしまえば、中国語での名前を変更せざるを得ません。
中国で商標は申請後、3か月の間に異議の申立てがなければ原則、認められます。
つまり商標の申請に気づかないまま3か月が過ぎてしまうと、商標は中国企業のものとなり、日本側が商標を侵害したとみなされる恐れがあります。
<「ジェトロ北京」知的財産権部 亀ヶ谷明久部長>
「(中国で商品を)紀州産のものですとか説明するのは問題ないけれど、商標として使う場合には商標権の侵害を構成する可能性がある、損害賠償額を支払わないといけない可能性が出てきます」
危機にさらされる日本ブランド。
中国企業の狙いは、どうやらイメージアップだけではないようです。
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先に商標を申請されて、中国で名前を使えなくなる恐れが出ている「和歌山」、「紀州」ブランド。
<中田食品 中田吉昭社長>
「(申請されるとは)想定していませんでした」
中国が日本ブランドを狙う、こうした商標問題は国会でも取り上げられました。
<枝野幸男経済産業相・参院予算委員会 3月13日>
「こんなものがまかり通るとしたら、国家としてのプライドの問題じゃないかと思いますので、プライドないのかと言いたい…」
中国企業の本当の狙いは何なのか?
憤懣取材班は、「和歌山」を商標申請した、上海の食品会社を訪ねました。
<記者>
「食品会社はありませんね」
(Q.聞いたことは?)
<上海市民>
「(訳)食品会社・・・、聞いたことないね」
会社の住所地は架空でした。
一方、「紀州」を商標申請していたのは、中国南部・広州の広告デザイン会社でした。
<広告デザイン会社担当者・電話>
「(訳)ある客から、『ワインを売るので商標名を考えてほしい』と頼まれたんです。スーパーマーケットで紀州の梅が売っていました。ひとつひとつきちんと包装されていて、それで『紀州』にしました。日本の地名だとは知りませんでした」
和歌山の梅の生産者たちが、ブランドを使われ困っていると伝えると…
<広告デザイン会社担当者・電話>
「(訳)それは残念ですね。もし商標がほしいなら、売ってもいいですよ。数百万円くらいですよ」
地名などの商標を先に取得し、日本企業に販売して利益を上げようと考える業者が多くあるといいます。
<「ジェトロ北京」知的財産権部 亀ヶ谷明久部長>
「日本の地名でいいイメージがあるものは先に権利を取っておいて、商標を商品として売ろうと考えている」
「(中国側が)日本の地名等で商標権を取って日本の製品をちゃんと売ろうとしていたのは聞いたことがない」
中国市場での梅酒販売を狙う中田社長は悩んだ末、「NAKATA」という商標を取り、売り出すことにしました。
さらに「紀州」と「和歌山」の商標申請に対し、生産者で手を組んで異議を申し立てました。
<中田食品 中田吉昭社長>
「『紀州ブランド』は、日本の紀州産のものを扱う業者が、ちゃんと使える形にしてもらいたい」
中国で、一部の企業の金儲けのために利用される日本ブランド。
日本の生産者にとっての対策は今のところ、先手をうって商標を先に取得するしかなさそうです。
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