2012年4月29日日曜日

■有馬温泉、わき出た“奇策” 旅館組合が異例の旅行業進出


有馬温泉、わき出た“奇策” 旅館組合が異例の旅行業進出
http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/120429/wec12042912010002-n1.htm
2012.4.29 12:00 [ビジネスの裏側]

 “関西の奥座敷”として名高い有馬温泉(神戸市北区)の旅館で作る「有馬温泉旅館協同組合」(加盟は22旅館)が旅行業に進出する。宿泊客を対象にオリジナルの観光プランを企画、ツアー客を募集することで、長期滞在して温泉の魅力をたっぷり味わってもらおうという試み。「有馬おもひで銀行(バンク)」「結言(ゆいごん)状ツアー」など、ユニークなアイデアがわき出ている。

 同組合は5月にも兵庫県に、周辺の市町村を含めた地域でパッケージ旅行を企画・募集できる「第3種旅行業者」の認可を申請。認可を得た後、組合内に旅行部門「有馬もうひと旅(たび)社」を立ち上げる。

 兵庫県観光振興課によると、旅行業者の認可を申請するのは法人や個人が大半で、「組合のような団体が申請するケースは非常に珍しい」という。

 旅行プランは周辺の地域ともタイアップし、産業観光のほか、神戸市内の商店街を巡ったり、篠山市の古民家を訪ねたりと、温泉を軸に地域の魅力を盛り込んだ企画を打ち出す。

 ユニークな試みが「有馬おもひで銀行(バンク)」。旅行の思い出を写真や文章など、自由な形にまとめてメモリーカードに記録し、それを温泉街の一角にある観光総合案内所にある金庫で預かるサービス。

 「何年かしてまた訪れてもらい、その思い出を追加してもらえれば…」と同組合専務理事で、有馬きっての歴史を誇る御所坊社長の金井啓修(かないひろのぶ)さん(57)。リピーター獲得の“秘策”に据えており、主に同窓会の需要をねらう。


家族などをターゲットにしたサービスが「結言(ゆいごん)状ツアー」。「遺言」というわけではないが、関係ないこともない。「人生の節目節目にメッセージを残し、家族で話し合う。1年ごとに見直すとか…」と言葉は遠慮がちながら、こちらも高齢化社会をにらみリピーターがねらいだ。

 また、プランでは六甲山トレッキングとの組み合わせも計画。携帯電話のGPS(衛星利用測位システム)機能を利用し、登山ルートを案内する音声ガイドシステムの実用化に向けて準備を進めている。

 有馬温泉には年間、日帰り客が約200万人、宿泊客が約100万人訪れる。交通の利便性がよいこともあって、主体は京阪神からの観光客だ。このため、宿泊しても1泊2日の利用が大半で、長期間滞在する宿泊客をいかに増やすかが課題になっている。

 「1泊2食でお風呂に入って終わり。これでは有馬温泉の将来は危うい」と金井さん。「温泉一丸となって、有馬でないとダメといわれるサービスを提供し、繰り返し来てもらえる“有馬ファン”を全国で増やしたい」と話している。



0 件のコメント:

コメントを投稿