中国デモ、日系企業を襲撃 野田首相が抗議
http://jp.wsj.com/World/China/node_513232/?mod=Right_pickfree
2012年 9月 17日 11:16 JST
中国で日本政府による沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)の国有化に抗議する反日デモが激化するなか、日本企業の工場やレストランなどが襲撃され、日本車が破壊される行為などがあったほか、北京の日本大使館では卵やプラスチック製ボトルなどが投げつけられる騒ぎが起こった。
18日は1931年の満州事変の発端となった柳条湖事件が起こった日で、この日を前に日本企業や中国在住の日本人の緊張が高まるなか、野田佳彦首相は中国内で激化する暴力行為に遺憾の意を表している。18日は、中国の近代史上、最も暗い時代の1つを象徴する日として多くの中国国民が記憶している。
とはいえ、日中両国とも二国間の経済関係に広く打撃を及ぼすような緊張の高まりを望んでいない。野田氏は尖閣諸島の領有権が日本にあることを主張しつつも、「冷静な」対応を訴えた。中国国営の新華社は16日、「愛国心の表現には分別が必要だ」と表明した。
在北京日本大使館の職員によると、今回の抗議デモは日中の国交が正常化した1972年以来、最大規模の抗議活動だという。日本企業の工場やレストランに対する15日の襲撃行為は「今までになく過激」だったという。
一方、中国の外務省は16日、東シナ海において領海の基線から200カイリを超える海域への大陸棚の延伸を求める申請書を、国連海洋法条約に基づき国連に提出したと述べた。これは尖閣諸島の領有権を巡り、法的根拠を確立させようとする中国側の動きの一環だ。
野田首相は早ければ11月にも実施される可能性のある衆議院総選挙で、民主党の敗北を最小限に食い止める必要に迫られている。総選挙では中国問題が主要な争点になる可能性がある。野田氏は16日のNHK番組「日曜討論」で中国の抗議活動が「邦人と日本企業の安全」を脅かしていると述べた。
野田氏は「中国政府に対し抗議するとともに、安全確保を強く求めていきたい」と述べた。
一方、野田氏は日本経済の減速傾向が一段と強まるなか、日本の最大の貿易相手国である中国との経済関係については健全な状態を維持したいとのサインを送った。
野田氏は領有権を巡る反目行為に対する政策の2本柱の1つは「毅然な対応」だと述べる一方、もう1つは「冷静さ」だとした。
首相は「大事なことは、経済で言えば(日本と中国が)世界で2番と3番の国」であることだとし、「中国が発展することは日本にとってもチャンス。お互いが戦略的互恵関係を深めていくという事を冷静に頭の中に持った対応をすることが大事」と述べた。
中国の国営メディアも事態の悪化を抑えようとしている。武漢で発行されている国営紙、長江日報は、週末に起こった抗議活動の一部について、「愛国的行為は良識と正当性の境界を越え、逆に他人の財産の破壊や同胞の正統な利益を侵害している」と述べている。この解説は中国共産党の機関紙、人民日報のウェブサイトにも掲載された。
18日には抗議活動が激化することが予想されるため、日本大使館は中国在住の邦人に対し、大きな声で日本語を話さないよう呼び掛け続けるという。大使館職員は、多くの日本企業が18日は臨時休業するほか、ほとんどの日本人学校が休校すると予想していると述べた。
また丹羽宇一郎氏の後任として中国大使に任命されていた西宮伸一氏が16日、入院していた都内の病院で死去したことも領有権を巡る日本側の対応を複雑化しそうだ。西宮氏は10月中旬に赴任予定だった。
記者: Brian Spegele、Takashi Nakamichi
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