外国人の安全を保護する、中国人は理性的になってほしい=中国政府
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=0918&f=politics_0918_007.shtml
2012/09/18(火) 08:13
中国政府・外交部の洪磊報道官は17日の記者会見で、「われわれは法律にもとづき、(中国国内の)外国の機構と人員の安全を保護する」、「中国国民は理性的に、法律にもとづいて、抗議の意を表明してほしい」と述べた。一連の反日デモ・暴動の原因は日本側による「尖閣諸島購入」との主張を繰り返した上で、中国政府の対応について述べた。
洪報道官は、尖閣諸島が中国固有の領土とする従来の主張を繰り返した上で、中国各地で発生した反日デモ・暴動の原因は、「日本側による釣魚島(尖閣諸島の中国側通称)の違法な購入」と主張。「日本側は責任を回避したり、覆い隠す態度をとるべきでない」、「日本側が中国側の厳粛な立場を正視できるかどうか、人民の正義の声を正視できるかどうか、正しい態度と行動をとれるかどうかが、事態の発展にかかわってくる」と述べた。
一方で、「中国は法治国家であり、中国における外国の機構や人員は、法にもとづいて安全を保護する」と説明。破壊行為や暴力行為を阻止することを示唆した。さらに、「中国国民は理性的に、法律にもとづいて、意思を表明してほしい」と述べた。同発言は、自国を法治国家と主張する一方で法にもとづくコントロールができていないことを認めたに等しい。
広東省広州市内でイタリア領事館の公用車が襲撃されたとされる件については、「関連部門が捜査中」と説明し、改めて「中国政府は一貫して、国際条約が定める義務を履行しおり、外国の在中国領事館機構と人員の安全を保護する」、「われわれは国民に対して、冷静に、理性的に、法に従い、秩序だって訴えを主張してほしいと呼びかけている」と述べた。
◆解説◆
一般に、領土問題がこじれてしまう原因のひとつに、政府がいったん立場を表明すると、撤回が難しい点がある。撤回すれば、「領有についての正しい主張だったはずなのに、弱腰外交で国益を損ねた」または「それまで国民に対して虚偽の説明をしていた」のいずれかという理屈になり、自国民の大きな反発と政府不信が発生するからだ。
中国国民のほとんどは、尖閣諸島について「日本が日清戦争の結果、盗み取ったものだ」という自国政府の説明のみを聞かされており、日本側の主張を知る機会はほとんどない。さらに、日本が実効支配を続けていることや、尖閣諸島で2番目の大きさの久場島と3番目の大正島が在日米軍の射爆撃場(いずれも1978年6月以降は使用停止)とされていることも、多くの人は知らない。
中国政府としては、反日デモ・暴動が従来の主張である「釣魚島は中国のもの」との考えにもとづいている以上、少なくとも早い段階からの、厳しい取り締まりは難しい。しかも中国は、民衆の怒りが自国政府に向けられることを恐れるという、ジレンマを抱えている。政治的な意思表明が大きく制限されているだけに、群衆の批判が政府に向けられることは深刻な事態だ。
さらに、日本以外の国の「公用車」までもが襲われたとなれば、反日運動は“フーリガン化”したと言わざるをえなくなる。「社会の根底によどむ民衆の不満が爆発すれば何が起こるか分からない」というリスクが国際的に露呈したという点で、中国政府にとって大きな失点になる。
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