中国の反日デモで日本企業の現地工場が一部操業停止
http://jp.wsj.com/World/China/node_513572?mod=WSJFeatures
2012年 9月 18日 7:18 JST
【香港】週末に中国各地で反日デモが激化したことを受け、一部の日本企業は17日、現地工場の操業を停止したり、店舗を閉鎖して従業員に自宅待機を呼びかけた。こうした動きは世界第2位と第3位の経済大国の関係が今後どう展開するか懸念を抱かせるものだ。
パナソニックは山東省青島工場の操業を停止した。同社の在北京広報担当者によると、週末にはデモ隊が工場の窓を割り、機器を破壊して火を付けたという。キャノンは17日と18日、安全上の理由から、中国にあるカメラ、コピー機、プリンターを製造する主要工場4カ所のうち3カ所の操業を停止した。
尖閣諸島をめぐる紛争を原因とした週末の抗議デモは過去最大規模だ。多くの日本企業は中国の労働コスト上昇を理由に東南アジアへ目を向け始めたところだが、中国は依然として日本にとって最大の貿易相手国であり、多くの日本企業にとっては製造の中心拠点であるだけでなく、急成長中の消費市場でもある。
バークレイズの森田京平チーフエコノミストは、反日感情の高まりによって、日本企業の目は中国から東南アジアへさらに移る可能性があるとみている。今回の反日デモが発生する前から、賃金が上昇する一方で生産年齢人口比率の低下が予想される中国の魅力は日本企業にとって薄れていたという。
だが、大半の日本のメーカーや小売業者にとって中国は依然として成長戦略には欠かせない重要市場だ。キャノンの在東京広報担当者は、中国は同社にとって主要な生産拠点であるだけでなく巨大な市場であると述べ、その重要性を強調した。今のところ、同社の現地事務所や工場での被害は報告されていないが、日本人と中国人双方の全従業員の安全確保に努力しているという。
多くの日本企業は従業員に対し、細心の注意を払うように呼びかけている。中国各地でカジュアル衣料のユニクロ140店舗を運営するファーストリテイリングの在東京広報担当者によれば、現地の日本人全駐在員に18日は自宅待機するよう指示したが、一部は17日も会社を休んでいるという。日本人駐在員は200人を超える。
パナソニックの在北京広報担当者は、日本人従業員に一人でタクシーに乗ることは避け、街中で大きな声で日本語を話さないように忠告していると述べた。また、日本から中国への出張を、緊急かつどうしても必要な場合に制限している。一方、ファーストリテイリングは日本人駐在員に対し、外出の際は中国人の同僚に同伴してもらうように指示している。
ファーストリテイリングでは、反日デモによる被害を避けるため、ユニクロ店舗の一部はデモ隊が近づいてくるたびにドアを一時閉めているという。広報担当者によると、今のところどの店舗からも被害を受けた報告は出ていない。
反日抗議活動に関する懸念によって、多くの日本人は中国を旅行することに躊躇している。旅行代理店大手HISでは北京と上海は海外旅行の行き先として常に上位10位に入る人気都市で、多くのパッケージツアーが企画されていたが、ここ数日間で多数の中国旅行がキャンセルとなり、一部の旅行者は行く先を変更したという。また中国旅行が安全になるのはいつかという問い合わせも多く寄せられており、人々はテレビのニュースで反日デモの様子を見て懸念を募らせているようだという。
また、反日抗議活動の高まりを受け、香港に上場されている日本関連株も打撃を受けている。日本企業と合弁事業を行っている中国自動車株が売られ、東風汽車集団は7%、広州汽車集団は4.6%下げた。また、日本風のラーメン店チェーンを経営する味千(中国)控股は6.7%、イオンストアーズ香港は5.5%下げた。日本の市場は17日は敬老の日のため休場だった。
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