【萬物相】離婚産業
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2012/04/15 08:34 朝鮮日報
東京に住む会社員の小村は1995年、阪神大震災が起きた後、突然妻に離婚される。妻は5日間、地震のニュースだけを見続け、何も言わずに家を出て手紙を送ってくる。「空気の塊と暮らしているような感じだから離婚しよう」という手紙だ。小村は「私に中身がないという意味だろう」と素直に離婚に応じる―。村上春樹の短編小説『UFOが釧路に降りる』の中の話だ。大地震で変わってしまった人生観を、若いカップルの離婚を通して描いた作品だ。
12年前に書かれた村上春樹の小説は、現在の日本社会の新たな離婚風景を予見したような形になった。昨年3月の東日本巨大地震を経て、日本では離婚が3倍ほど増加した。「大地震をきっかけに人生を振り返り、新たな出発をしようという夫婦が増加した」と分析される。離婚する夫婦が親しい人たちを招待し、離婚宣言をした後、2人が一緒にハンマーで結婚指輪を壊す「離婚式」も人気だ。堂々と離婚し、しっかりと幸せに生きていこうという20―30代の離婚の仕方だ。離婚式専用式場を借りるのに、ビュッフェ式の食事を含めて5万5000円程度掛かるという。
米国では「離婚産業」の規模が1000億ドル(約8兆2800億円)に達している。最初の結婚の41%、2回目の結婚の60%が離婚に終わる国だ。先日、ニューヨーク・マンハッタンで初めての「離婚エキスポ」が開催された。離婚専門弁護士をはじめ、財務設計士、セラピスト、結婚情報会社が展示ブースを出した。離婚後、新たな人生をサポートする美容・ファッション専門家やインテリア業者、再婚相手の身辺調査を請け負う私立探偵も参加した。
韓国では昨年、33万組が結婚した一方、11万4000組が離婚した。昨年実施したソウル市民の離婚調査では、結婚20年以上の「熟年離婚」が27%を占め、結婚4年未満の「新婚離婚」の25%を初めて超えた。そのため、弁護士の業務に占める離婚訴訟の割合が大きくなり、1年間に平均38回も離婚訴訟を担当する弁護士もいる。離婚専門月刊誌が創刊され、結婚情報会社では再婚相談の割合が増加している。1年の結婚件数の22%、約7万件が再婚だ。
小説家の孔枝泳(コン・ジヨン)氏は3回離婚し、姓の異なる3人の子どもを育てている。孔枝泳氏は「子どもたちの姓はそれぞれウィ、オ、イで、3人とも姓が母音で始まっている」と堂々と話した。離婚を隠すべきことと考えていた昔とは状況が大きく変わった。離婚の痛みを足掛かりに、さらに成熟し幸せな人生を送っているカップルも多い。しかし米国でもニューヨークの離婚エキスポをめぐって「離婚を法律手続きではなく産業として扱おうとする風習の変化は不幸なことだ」という批判があった。胸が痛む離婚までもが、カネになる「隙間産業」として脚光を浴びる世の中だ。まるで割れた鏡のように痛々しい。
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