2012年4月21日土曜日

■ビザ問題で揺れる朝鮮族7万人


ビザ問題で揺れる朝鮮族7万人
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/04/20/2012042000509.html
2012/04/20 08:54

 「技術学校に通えば、ビザは延長できますか」「ほかの種類のビザに変更することもできませんか」

 最近韓国で働く中国出身の朝鮮族の人々は、ビザの問題で頭を悩ませている。2007年に就労目的の「訪問就業ビザ」の制度が設けられてから、今年は4年10カ月の滞在期限が切れる最初の年に当たるためだ。

 京畿道華城市に住む朝鮮族のJさん(58)は最近、ソウル市永登浦区大林洞一帯の職業紹介所を訪ねた。職探しが目的ではなかった。2007年12月に訪問就業(H2)ビザで韓国に来たJさんは、ビザの有効期間(4年10カ月)が近づき、どうしても韓国での滞在を延長したかった。過去4年間、京畿道内で溶接の仕事をしてきたJさんは「韓国での待遇を考えると、中国に戻って仕事をする気にはならない。ビザ期限が迫っている朝鮮族の人たちは皆悩んでいる」と語った。

 京畿道光明市でメーカーを経営する社長(48)も悩みは同じだ。これまで4年5カ月にわたり、共に働いてきた朝鮮族の従業員2人のビザ期限が迫っているからだ。従業員には親しみが湧いているがどうしようもない。社長は「3K(きつい、汚い、危険)業種で離職率が高いにもかかわらず、長く働いてくれたありがたい人たちだ。不在時に現金の出し入れを任せるほど信頼していたのに残念だ」と話した。

 朝鮮族の就労を受け入れる「訪問就業制度」は、2007年3月に韓国のいわゆる3K業種の活性化を目的として導入した制度だ。今年ビザ切れを迎える人は7万人に上る。このため、ビザ切れを迎える人たちは、帰国か不法滞在かという選択を迫られている。

 2000人以上の朝鮮族労働者が働く光明市の警察関係者は「ビザが切れた人が帰国せず、不法滞在者が量産されれば、さまざまな社会的問題を生むことになる」と懸念した。

 帰国してビザを再申請すればよいと思うかもしれないが、問題はそれほど単純ではない。韓国法務部(省に相当)は、訪問就業ビザの期限が切れ、中国に帰国した朝鮮族の人に対し、帰国から1年が経過すれば、ビザの再申請を認めるとの規定を設けた。しかし、中国にはビザ申請済みの待機者が多い上、ビザ再申請に年齢制限もある。

 韓中経済親善交流協会のイ・ヨンフ会長は「法務部は対策を示したが、再申請の対象が55歳未満に限られている。1年後にはどうなるか分からないという不安感も重なり、制度を信じない朝鮮族の人たちは帰国をためらっている」と指摘した。

ソウル市永登浦区の大林駅周辺にある約80カ所の職業紹介所には、前出のJさんのような朝鮮族の人たちの訴えが相次いでいる。1日平均約80人の朝鮮族が職探しに訪れるというD職業紹介所を取材に訪れたが、ビザ切れを控えた朝鮮族の人たちからの問い合わせで業務がまひするほどだった。

 既に不法滞在者となって紹介所を訪ねる人もいる。朝鮮族の50代夫婦は「夫婦で働ける工場を探している」と相談を持ち掛けたが「実はビザが切れて、不法滞在している」と言うと、担当者は難色を示し、夫婦は空気を読んだように帰っていった。

 D職業紹介所で3年にわたり相談員を務める室長(51)は「韓国に来て5年になる朝鮮族のうち、ビザ切れで不法滞在になると訴えに来るケースが1日に5件はある」と話した。

 訪問就業ビザの期限が切れる朝鮮族の滞在者が帰国せずに継続滞在するためには、韓国産業人力管理公団が試験を実施する国家資格を取得し、在外同胞(F4)ビザに切り替える方法がある。

 このため、朝鮮族を対象に国家試験対策コースを設ける学校が、朝鮮族の多い地区に雨後のたけのこのようにできている。

 イ・ヨンフ会長は「国家資格試験は、韓国人でも合格率が20%程度の難関で、現実的に朝鮮族の人が取得するのは難しい」と説明した。

 法務部のパン・ジェヨル出入国企画課事務官は「訪問就業制度で最初のビザ切れ時期を迎え、今後の対応策を多角的に検討している。20万人と推定される入国待ちの人たちとのバランスという問題も考慮しなければならない」と述べた。

 就労目的で韓国に滞在している外国人は58万7732人おり、朝鮮族は28万9981人を占める。朝鮮族のうち不法滞在者は7538人だという。



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