「四万十」守りから攻めへ 新商品次々、販路拡大も 高知
http://sankei.jp.msn.com/region/news/121020/kch12102002070000-n1.htm
2012.10.20 02:07
■焼きアユ/生姜プリン
「日本最後の清流」と称され、観光地として全国的な人気を誇る高知・四万十川。しかし、景気低迷の影響はここも例外ではなく、流域にある企業の多くは苦戦を強いられている。そんな中、食品会社や農家などの間で、新商品開発や販路拡大への動きが出てきた。県外消費者を意識した商品づくりに乗り出す会社もあるなど、「生き残り」への動きが加速している。(高知支局 角田純一)
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四万十川流域に細々と残る伝統的なアユの保存製法を生かし、新商品を開発したのは、四万十町大正の食品会社「四万十生産」。
串刺しにしたアユを、缶の中で丸1日かけ、炭火で焼き上げるもの。出来上がった「焼きアユ」が民家の軒先にズラリとつるされた光景は、かつて四万十の象徴的なものだった。しかし、天然アユの激減や冷凍保存の進歩に伴い、手間のかかる焼きアユは、姿を消しつつある。
同社では、効率が悪くても四万十のブランドは県外に十分アピールできるとして、あえて焼きアユの商品化を決断。焼きアユを瓶に入れた新商品(しょうゆ用、1050円)は、中に市販のしょうゆを入れるとダシがしみ出して、極上の味へと変身する。継ぎ足せば半年近く使えるユニークな商品となった。
福家和孝・企画営業部長(33)は「四万十らしさを前面に出した商品は、県外でかなり評判が良い。会社の規模は小さくても、アイデアしだいで、四万十ブランドの可能性はぐっと広がるはず」と話す。
別の業者も特産のショウガやアロエを使った健康飲料を発売するなど、四万十流域では、新商品開発の機運が高まっている。
一方、販路拡大も進んでいる。4月には川の源流地点に位置する津野町が高知市内に直売所を開店。7月下旬には中流地域にある四万十町のアンテナショップ「しまんとマルシェ四万十の蔵」が、同市内にオープンした。四万十の知名度に頼ってただ客を待つのではなく、積極的に特産品をアピールすることで、新たな県内需要を掘り起こすのが目的という。
過疎・高齢化の問題も抱える四万十川流域。小規模の会社や農家などが知恵を結集することで、大手企業に負けないものづくりを目指す動きも出ている。
3年前、同町の商工会女性部メンバーら7人で結成された「やまぼうし」は、その代表的なグループ。さまざまなユニーク商品を創作しており、特産のショウガと卵を使ったプリンは、町内外で高い人気を集める。蒸す技術や温度調整が難しく、完成までには1年近くかかったという。甘さは控えめながら子供にも人気があり、商品のラベルに「四万十」の文字も入れ販売していく。
公文志保子代表は「将来的に高速道路の延伸も予定されています。多くの人に訪れてもらえるよう、今後も四万十の魅力を発信したい」と話している。
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焼きアユの問い合わせは、四万十生産((電)0880・27・0186)。生姜プリンは、公文寝具((電)0880・22・0266)。
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