2012年12月30日日曜日

■【コラム】コンテンツを欠くアジア文化殿堂


【コラム】コンテンツを欠くアジア文化殿堂
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/12/30/2012123000161.html
2012/12/30 09:25 朝鮮日報

 光州市の都心を貫く繁華街・錦南路の起点となる旧全羅南道庁跡地に「国立アジア文化殿堂」を建設する工事が本格化している。2005年12月7日に起工式を行ってから7年が過ぎた。5・18光州民主化運動(光州事件)の舞台となった旧全羅南道庁の建物を一部残し、地下に文化施設を建設する予定だ。現在の工事進捗(しんちょく)率は47%で、年内に外観を完成させ、来年は内部の工事を行い、2014年の完成を目指す。その後は1年間の試験運営後、15年に正式オープンするという。

 光州を文化の首都に育て上げ、2010年までに「殿堂」を建てるという当初計画に比べると約5年遅れだ。歴史的な場所だけあって、旧全羅南道庁のどの部分を残すかをめぐって論争があった。文化中心の都市をどうつくっていくかという枠組み、計画内容をめぐっても論戦が展開された。予算支援も十分ではなく、工事はなかなか進まなかった。

 現在の計画では15年のオープンは可能とみられる。しかし、光州だけでなく文化界は既にオープン後を心配している。アジア文化中心都市建設推進団などの関連機関も苦悩している。オープン後にいったい何を見せるべきか、コンテンツが問題だからだ。「スペースを埋めるのは大変だ」「いい加減なコンテンツではオープンできないのではないか」という意見も出ている。光州市からは国立現代美術館を誘致しようという話も出た。現在のコンテンツ開発ペースからみて、コンテンツ不足が明らかとなったことによる危機意識の表れだ。店を出しても売り物がない状況を懸念している格好だ。

 今回の事業は大統領直属の「アジア文化中心都市建設推進委員会」が管轄し、文化観光部(省に相当)に属する「建設推進団」が担当している。アジア文化情報院、文化創造院、アジア芸術劇場、民主平和交流院、子ども文化院という5施設で構成する「新概念複合文化施設」を目指しているが、互いを関連付けるコンテンツ、プログラム、各院の特性に合ったコンテンツはほとんど開発されていない。昨年末にアジア文化開発院という、コンテンツの研究開発、制作、流通を図る特殊法人が設立されたが、まだ活動を開始していない。

 コンテンツは一朝一夕で出来上がるものではない。かなりの時間と努力を投入しないかぎり期待はできない。時間を無駄にしてきたことを責めても仕方ないし、それを否定することはできない。中でも政府が建物の完成だけを重視してきたとの批判は免れない。

 今は中身を満たさなければならない。アジア文化殿堂のコンテンツは殿堂そのものだけでなく、文化中心都市の建設の成否を左右する重要な要素だという点には異論がないだけに、これからが大切だ。「建物だけ建てれば終わり」という地方自治体の箱物行政を中央政府が繰り返してはならない。アジアの文化中心都市は成功しても失敗しても、国の品格を象徴する存在となるからだ。




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