2012年12月26日水曜日

■【コラム】 中国政府の迅速な意思決定体制とそれ以上の数多くの問題


【コラム】 中国政府の迅速な意思決定体制とそれ以上の数多くの問題
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2012&d=1226&f=column_1226_016.shtml
2012/12/26(水) 09:52

機能しなくなってきている意思決定体制

 2012年10月1日のタイムの記事によると、欧米人は国際的なビジネスマン(そして特にアメリカ人)が『中国は迅速な輸送機関、迅速な意思決定、機転の効く政府当局のワンダーランドだ』と描いていると言う事にこの記事の筆者は不満を述べている。彼はビザの発効の手間とか関税手続きの煩雑さを嘆いていた。

 確かに中国は太陽光発電、風力発電はアメリカを抜いて世界一だ。その理由は中国が「国家資本主義」だからであり、政府が一党独裁だからだ。政府が決めた事を実行するのは民主主義国家よりも格段に早い。

 豚肉の値上がり、不動産の高騰、株価の急騰に対する政府の対応も迅速だ。不動産の高騰は銀行の貸出を直ちに規制し、株価の高騰も金融を引き締めて沈静化させることができる。昨年の豚肉の高騰の時には3ヶ月ぐらい手間取ったが、結局安定させることができた。こうしたことは民主主義国家には出来ない。

 しかし、こうした一党独裁による意思決定でもうまく行かなくなって来ているものが多くある。たとえば、知的財産権で良く問題にあるDVDの街角での販売だ。いくら取り締まっても、取り締まれない。また、正規品は飛行場でしか販売していない。そのため、欲しいDVDは街角で6元(80円)払って買うしか無い。

 もう一つが金盾による情報統制だ。数千人、数万人とも言われるインターネットの監視要員の監視が追いつかない。インターネット人口が5億人を超えてしまったからだ。かってはこのインタネットを使って政府がデモを操作していたが、今は巨大になり過ぎて出来ない。一歩間違うと反政府活動になってしまうからだ。

 さらに、環境汚染もひどい。世界で最も汚染された10の都市の7つが中国にある。そうした環境汚染も問題の最大の要因は官僚の評価方式にある。今までの役人は成長だけが評価の指標であったので、環境の指標は彼等の成績に入っていない。だから、今まで無視されて来た。

もっと悩ましい三農問題

 中国政府の思い通りに行かないもっと大きな問題がある。それは三農問題と言われている農民、農村、農業の貧困の問題と政府幹部の汚職の問題だ。こうしたことが来年の政府に対する不満をどこまで増大させるかが政府の安定にそうとう大きな影響を与えるだろう。

 こうしてこの中国は意思決定が迅速な反面、意思決定が出来ない問題と解決が困難な問題を多く抱えている。世界第二位のGDPだが、果たして2020年までにアメリカを追い越すことができるのだろうか。いや、来年の習近平の体制がうまく立ち上がるのだろうか。そう考えると、中国としては尖閣諸島の問題は早く解決したいと言う気持ちが一杯なのだろう。



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