日本の観光魅力と情報を発信
http://www.peoplechina.com.cn/home/second/2012-03/28/content_442925.htm
人民中国インターネット版 2012年3月28日
2010年には日本が中国人の海外旅行先1位は日本に。2011年は、東日本大震災後、中国人訪日旅行者数は一時的に減少しました。しかし、日本の正確な現状の情報提供、風評被害対策を、いち早く活発に行った日本政府観光局北京事務所の努力により、現在は中国人が安心して日本旅行ができるまでに回復したと言っても過言ではないでしょう。「1人でも多くの中国の方に日本の魅力を味わってもらいたい」と観光客誘致に懸命に取り組む飯嶋康弘日本政府観光局北京事務所所長にお話を伺いました。
――現在まで中国人訪日旅行者数はどのように変化していったのでしょうか?
2000年9月に、一部地域(北京市、上海市、広東省)に限定して、中国人の訪日団体観光旅行が解禁され、その後、2005年に中国全土に解禁されました。訪日個人観光は、2009年7月に、まず一部地域(北京市、上海市、広東省)に限定して解禁、翌2010年7月に中国全土に日本への旅行が解禁となりました。
日本政府が、観光立国を国策と位置付け「ビジット・ジャパン・キャンペーン」と称し、日本への観光客誘致への取り組みを開始したのが2003年です。2003年の訪日外国人観光客数が521万人で、うち中国大陸からは45万人。2011年の中国人観光客数は104万人でしたが、この間の外国人観光客全体(622万人)の伸びが約2割増なのに対し、中国人観光客は2.3倍増と急拡大し、今や韓国人観光客に次ぐ規模です。近い将来最大になるのは確実とみられています。
――東日本大震災後、旅行者数は減少しましたか?
東日本大震災の影響は非常に大きく、震災後の中国人観光客数は対前年同月比で4割減が続きました。しかし、国慶節休暇のあった10月には、ほぼ例年並みに回復し、11月以降は3ヶ月連続して単月で過去最高値。但し、春節休暇が今年は1月にあった影響で、2月は対前年比で2割減となってしまいましたが、1、2月の合計では対前年比8%増です。訪日中国人観光客数は既に回復したと見ています。
外国人観光客総数では未だ例年の9割程度までしか回復していない中で、中国人観光客が昨年10月以降いち早く回復できたのは、多くの自治体が震災後の地域の現状と観光魅力の説明会を実施するなど、日本が関係者一丸となって風評被害対策に取り組んだために他なりません。
私ども日本政府観光局では、「夏休みを1つの目標として、夏休みにある程度の人数の中国人観光客が日本を訪問してくれれば、日本へ旅行をした中国人自身が、クチコミやネットユーザー5億人以上と言うWEBで、日本の安全な状況を他の中国人に伝えてくれるはずだ」という戦略の下、震災後から夏までは、風評被害対策に集中的に全力で対応してきた甲斐があり、早期回復ができて本当にうれしく思っています。
――飯嶋所長は、中国メディアにもしばしば登場していますが……
日本政府観光局の北京事務所は、中国人観光客の訪日が解禁された2000年に先立ち、その受入準備のため1998年に設立されました。既に13年以上が経ちますが、昨年は東日本大震災により、事務所設立以来、最も多忙な1年となりました。私どもの組織は、外国人観光客を日本に誘致するための政府機関(独立行政法人)であり、日本国民の貴重な税金で運営されています。通常時の中国人観光客誘致事業は観光や広告企業の方々にお願いできるものの、震災後の日本の正確な情報発信(安全情報の提供)は、政府機関である私どもの最大の使命です。東日本大震災後の風評被害対策は、正に最大任務であり「今こそ日本政府観光局の真価が問われる時である」という認識の下、職員一丸となって、昨年1年はその対応に奔走していた次第です。
私自身も、4月末に、重大被災地を除いて渡航自粛勧告が解除されて以降は、中国メディアに個別取材等の形で御協力をお願いし、ほぼ毎日、中国メディアを通して、日本の正確な情報発信に努めて参りました。震災後の数ヶ月だけでも50回以上中国メディアの取材を受けたことから、毎日どこかの中国メディアに、私ども日本政府観光局が発した「日本が安全である」という情報提供が掲載されていたということです。
――中国人観光客誘致のために、近年、特別力を入れている観光地はありますか?
昨年7月に導入された個人観光マルチビザの発給条件として、沖縄を訪問することで3年間有効のマルチビザが与えられます。そのため、北京から沖縄への直行便も週4便新規開通しました。東京から大阪に至る「ゴールデンルート」と呼ばれる観光ルートと、中国映画の舞台として有名になった北海道に次ぐ新たな人気観光地を目指して、沖縄PRに力を入れています。さらに、日本には各地に魅力的な温泉地や郷土料理、自然景観、そして祭りなどの伝統文化があり、ショッピングも楽しめます。日本をより深く知って頂くため、まだあまり訪問されていない地方都市を重点的にPR中です。
――最後に、飯嶋所長が10年前に北京で勤務していた頃と比べ、現在の北京の印象はいかがですか?
最初の赴任では、在中国日本国大使館に勤務していました。2000年6月に帰国し、2010年7月に2度目の北京赴任となり、ちょうど10年ぶりの北京です。北京オリンピック開催を機に発展したと聞いていましたが、その通りでした。交通インフラの整備が大きく進展し、街が広がりました。当時は三環の外は郊外というイメージでした。そして、高層ビルの数も増大し、外国人設計の建物に外国企業の進出。国際会議が中国で開催されることが多くなり国際化が進んでいる印象です。
飯嶋康弘日本政府観光局北京事務所所長インタビュー
プロフィール
飯嶋康弘 日本政府観光局北京事務所所長。1988年運輸省(現国土交通省)入省。在中国日本国大使館で政治部書記官として日中外交に携わる。2008年~2010年は国連世界観光機関アジア太平洋センター副代表を務め、2010年7月から現職。
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