2012年5月30日水曜日

■徳島  県内観光不振 宿泊者は全国最下位


徳島  県内観光不振 宿泊者は全国最下位
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokushima/news/20120529-OYT8T01375.htm
(2012年5月30日  読売新聞)

 県内の観光振興が振るわない。今春のゴールデンウイーク(GW、4月28日~5月6日)期間中の、主な観光施設の1日平均集客数は前年比ほぼ横ばいの100・2%(3万4950人)。9日間の合計は31万758人だった。巧みなPRで集客の底上げに意欲的な香川、高知、愛媛の3県に比べ、徳島は阿波おどりへの依存体質から抜け出せない。このまま現状に満足していては、県内の観光産業は縮小する一方だ。

 観光庁の宿泊旅行統計によると、2010年に徳島県内にある従業員10人以上の施設を利用した宿泊者数は、延べ140万9060人で全国最下位の47位。愛媛県が37位、香川県が39位、高知県は41位だった。11年の暫定値でも徳島県は延べ122万2460人で最下位。同年の調査対象を従業員10人未満の施設にまで拡大すると、延べ189万2970人でワースト2位となるが、同3位の島根県より約70万人も少ない。

 旅館、ホテルなどをみても、10年に徳島県内にあった従業員10人以上の宿泊施設は77軒で全国最下位。厚生労働省によると、県内の客室数は00年の1万1563室から10年には1万308室に減った。徳島経済研究所・元木秀章主任研究員は「宿泊客が減るからホテルや旅館が廃業する。すると更に宿泊客が減る悪循環に陥っている」と話す。

 「ホテルサンシャイン徳島」(徳島市)の総支配人・梯(かけはし)学さん(49)によると、もともと徳島市の観光シーズンは阿波おどりの4日間だけで、それ以外はビジネス客が主流だった。しかし、1998年の明石海峡大橋開通など高速道路網の発達で、徳島が関西からの日帰り圏内に入り、ビジネス需要が減少した。他の都道府県に観光客誘致では先行されていて、梯さんは「徳島が急に力を入れても及ばない。四国3県と比べても後進県だ」と厳しい。

 県の2010年のデータでは、鳴門や阿波、吉野川の3市など県北の8市町で形成する「鳴門ブロック」の観光客数は595万1000人。徳島、小松島両市、石井町など7市町村の「徳島ブロック」の376万6000人を上回った。鳴門ブロックの県外客は418万7000人で97年の2倍近く増え、148万2000人だった徳島ブロックの3倍近い。一方、簡単に京阪神に移動できるようになって宿泊客は減少。徳島ブロックの70万4000人に対し鳴門ブロックは52万人だった。

 元木主任研究員は「行政が中心になって危機感を共有し、県全体を引っ張らないと、10~20年後の激しい観光客の取り合いに置いて行かれる」と指摘している。



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